≦鬼徹書物・長編≧ そうだ、地獄に行こう!!
□【第六話】 視察〔三途の川編〕
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まるでお父さんのように心配そうに見つめる閻魔大王を、柊は上目遣いで見上げた。
「あの………やはり閻魔様は…私の正体を知ってらっしゃるのですね。」
「うん。一様、十王の一人で地獄の管理もしているからね。………ゴメンね。」
シュンと謝る閻魔大王に、柊は慌てて両手の平を振ってみせた。
「めっ、めそうもないっ。ここに置いていただけるだけで…。」
「いや…天界の意向もあったけど、キミの処遇を決めたのはワシ含めた十王全員の総意なんだ。………キミを目の前にして言うのも心苦しいけど、キミの『力』は不安定で、強すぎるぶん『善』と『悪』どちらにも転びやすい…。」
「はい…大丈夫です。解っています。」
(……だから生前は同じ人間なのに、ワタシは尊まれながらも…疎まれた…。)
と思った柊の胸の奥が………フツリと何か、揺らめいた…。「?」とザワつく胸を押さえる………。
「いつまで食べている気ですか、柊さん?行きますよ?」
いつの間にか、後ろに立っていた鬼灯の一言に、びっくりして我に返る柊。