≦鬼徹書物・長編≧ そうだ、地獄に行こう!!
□【第五話】 同じ屋根の下A
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「なぜ?」と聞かれても、それしか柊には選択肢が無かったから……。数秒の沈黙が続く…。
「話したくないですか?それとも、寝てしまったのですか?」
「………………………本当は……私は…天国に就職したかったんです。」
(……こんなこと言ったら、もっと鬼灯様の怒りをかっちゃうッ。……でも、これ以上の嘘はつきたくないッ!)
身を縮めて、ギュッと目を瞑る柊。
「まぁ、そうでしょうね…。」
(…えっ?)
拍子抜けの鬼灯の言葉に、柊の目が見開いた。
「怒らない……ですか?」
「大体の検討はつきます。鬼ならまだしも、亡者が地獄に就職するとなると、篁さんみたいな風変わりな人か………咎人か。」
ビクッ…。
最後の言葉に布団が振動した。それを感じ取った鬼灯の黒曜石のような瞳が、後ろの柊に流れる。