≦鬼徹書物・長編≧ そうだ、地獄に行こう!!

□【第六話】 視察〔三途の川編〕
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―――…閻魔庁内、食堂。



「ええッ!そんなことがあったのッ!?」

焼きシーラカンスの切り身を箸で口に運ぼうとした閻魔大王が、驚きのあまり箸からポロッと落とした。

すかさず…。

「ボロボロとこぼさないッッ!!」
      ゴォンッ!!

合い向かいに座っていた鬼灯から、オカン発言とともに金棒が閻魔大王の横っ面にぶち当たった。

「いっ、痛いよ〜ぉッ。鬼灯くんッ!」と呻く閻魔大王。鬼灯は「フンッ。」と鼻を鳴らすと、食べ終わった食器を持って席をたった。


ここまでの経緯を巻き戻すと、朝の朝食をとるため食堂に来た鬼灯と柊。

後から、眠い目を擦りながら現れたら閻魔大王に、鬼灯は事務的に昨日起こった出来事を報告したのだ。それを聞いた閻魔大王の一言目が、冒頭に繋がる。


すぐに横に座っていた柊に、巨漢を小さく丸めて耳打ちする。

「……『柊ちゃん』、大丈夫だった?」

「…はぁ、まぁ。」
(大丈夫か、大丈夫じゃないかと聞かれたら微妙だけど…。)

苦笑いする柊。朝の状態は二人とも無意識の不可抗力であって、あの悲鳴の後に飛び出すようにベットから離れていった。

なので鬼灯にしてみれば、いきなり朝から大声で叩き起こされたものだから、機嫌がすこぶる悪い。
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