≦鬼徹書物・長編≧ そうだ、地獄に行こう!!
□【第三話】 一服の休憩
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――…閻魔庁。審判の間。
「は〜ぁっ。鬼灯君、お昼から休憩無しで仕事して疲れたよ〜ぉ。肩でも揉んでよ〜ぉ。」
巨漢に似合わず情けない声を出す閻魔大王。
確かに、窓から見える空は薄暗くなって来ている。五時間ほどブッ通しで、亡者の裁判をしていた。
「………折っていいなら、揉みますけど。」
「いい訳ないでしょッ!何言ってんのッ!?」
開いた巻物から目を外すことなく毒を吐く鬼灯に、閻魔大王が大声を上げる。
柊は一日で何十回と、こんなやり取りを見てきたので慣れてきてしまった。これも二人のスキンシップなんだろうと、柊は苦笑いを浮かべる。
とはいっても、閻魔大王の言っていることも一理ある。篁に聞いてはいたが、その予測をはるかに越えるほど閻魔庁の仕事は多忙を極めていた。
(そういえば、確か持ってきた荷物の中に……。)
不意にあることを思い出した柊は、書類片付けのついでとばかりに、審判の間を出ていった。
それを横目で確認した鬼灯。
「ところで、閻魔大王…。」
「んっ?揉んでくれる気になったのかい?」
「誰が加齢臭ジジィを揉むかッ、アホゥッ。」
「ヒドいッ!ヒドいよ、鬼灯君〜ッ!」