≦鬼徹書物・長編≧ そうだ、地獄に行こう!!
□【第二話】 小野篁
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――…閻魔殿。審判の間。
「アテテテ…ッ。ああ、君が『柊』……君だね。秦広王から聞いているよ。」
眉間を大きく腫らした閻魔大王が、患部をさすりながら裁判席から柊を見下ろす。
閻魔大王の話の中に出てきた『秦広王』とは、閻魔大王を含めた地獄の十王裁判長の一人だ。
(それにしても………閻魔様って、もっと怖くて威厳のある顔立ちの方だと思っていたけど……どう見ても『となりのト〇ロ』…。)
と、心の中で苦笑いを浮かべる柊。
「はい、宜しくお願いします。……ところで、眉間の怪我は大丈夫ですか?」
閻魔大王の隣にいる、怪我の原因を作った鬼灯をチラチラ見ながら聞く。その鬼灯はというと、片手に持った金棒を、もう片方の掌の上でペシペシさせている。
「はははっ。いつものことだから、たいしたことないよ。」
(ええッ!?『いつものこと』なんですか?閻魔様!!)
「そうです。閻魔大王は亡者なんで、何殺っても死にませんしね。」
(イヤイヤ、鬼灯様!地獄の長にする仕打ちじゃないですからっ!それに、「殺」の漢字を使っちゃ駄目ですからッ!)
もう、ツッコミどころが満載過ぎて困惑しまくる柊。