≦鬼徹書物・長編≧ そうだ、地獄に行こう!!
□【第五話】 同じ屋根の下A
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「ですが、私の怨みがなくなったわけではありません。村の者が死んだのち、大焼処という地獄の一角にある御殿の入口柱にくくり付けて、私の気が済むまで業火に焼かれるオブジェになってます。まあ、ニュアンスとしては………罰ゲームに近いですね。」
「えっ?!それって『罰ゲーム』の域を軽く越えてませんか?『罰ゲーム』って言葉が、ここまで恐ろしく感じたのは始めてなんですけど???」
ダラダラと冷や汗をかく柊。
「地獄では『自業自得』『自己責任』が基本理念です。復讐もするなち自己責任。推奨はしませんが、復讐してはならぬという法もありません。「罪を憎んで人を憎まず」と言いますが、それが通用したら地獄はいらないですからね。」
「はぁ……そっ、そうですね。」
(もしかして地獄の住人って、こんな怨みの塊みたいな人ばかりなのかなぁ。)
と思ったら、柊の口がムズムズし始める。
「…〜〜〜プッ、クックックッ。」
鬼灯の背後から笑い声が…。
「? どうしました?」
「クスクス……鬼灯様の恨みって、どっか乾燥してますよね。ネガティブな恨みというより、ポジティブな恨みというか………個性的な恨み方。」
「…変な言い方をする人ですね、柊さんは。」
複雑な表情で、眉間にシワを寄せる鬼灯。柊は笑いを噛み殺しながら「自分でも、そう思います。」と肯定した。
「……明日も早いですから、もう寝てください。でなければ、ニ●ポン昔話のエンディングをエンドレスで歌いますよッ。」
「えーと……鬼灯様。子守唄はオープニングでは…。」
「いいから、早く寝なさいッ。強制的に落ちたいですかッ。(メッチャ、バリトン声)」
「はいぃぃぃッ!寝ますぅぅぅッ!」
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