うたの☆プリンスさまっ♪

□君に会えたら
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″明日、翔と那月の誕生日だね!″

音也にそう言われて初めて気が付いた。

最近仕事が忙しくて、そんな事を気にしている余裕も時間もなくて…。
仕事がこんなにあるのはとても嬉しい事だけど、それと比例して身体は疲れてくる。
こんな事言ったら、仲間や先輩、社長に怒られそうだけど。

そういや、あいつにも最近会ってないな。
元気でやってっかな。



時計を見たら、もう9日の1時30分を刻んでいた。
おれの誕生日になった。
でも、部屋に帰ってする事といえば、風呂に入って明日の準備をするだけ。
誕生日だからって特別な事はしない。そう思っていたのに。

藍も那月も今日は帰らない筈なのに、部屋の窓から漏れている光。
電気消し忘れたのか?
そんな訳ないか。

おれは疑問に思いながらも、鍵を開けて部屋に入った。

「え…」

おれは相当疲れているのだろうか。
目の前には、プレゼントの山が見える。幻覚か、幻覚なのか!

「翔くん?」

そして、プレゼントの山の中から出てきた私。
目を擦っても変わらない景色。
どうやら、現実のようだ。

「おかえりなさい」
「た、ただいま…?」
「お風呂沸いてるから、入っておいでよ」
「お、おう。サンキュ」

この現実を飲み込めないままおれは風呂に入った。
出てきてもやっぱり何も変わっていなかった。

「なぁ、何でお前いんの?」
「何でって…。今日は、翔くんのお誕生日だからだよ」
「仕事は?」
「無理矢理時間作ったの。どうしても翔くんに会いたくて」
「……っ!」

疲れている身体はすぐに睡眠を求めていたけど、こいつのサプライズが嬉しくて仕方がなかった。

「このプレゼントの山は?」
「全部私から!どれにしようかなって考えてたら埒が明かなくて…。だからね、思いつく物全部買ったの。受け取ってね!」

おれの好きな服や帽子のブランドの袋や、大きなリボンの着いた大きなくまのぬいぐるみ。
ピンク色の花束。
即席の味噌ラーメンのセットとか。
他にもたくさん。

「深夜にケーキはどうかなって思ったから、プリンにしたよ。翔くんの大好物!冷蔵庫に入ってるから、食べてね。ケーキは明日…、じゃなかった。今日の夕方買ってくるね。あ、あとね、これも買ったの!着てみて!」

そう言って渡されたのは、フリフリのアリスの衣装。

「絶対に嫌だ。ってか、お前が着ろよ」
「えー、私が着ても何もおもしろくないもの。だから…」
「私?どうした?」

突然、涙ぐむ私。
おれは何も悪い事はしていないのに、訳が分からない。

「翔くんに会いたかった…っ、ずっと…!で、でも、お仕事の邪魔しちゃ悪いし…、プレゼントも一個に絞れなかったし…っ!わ、私、別に泣きたくないのに、涙が勝手に…!」

私は、″うわーん!″と子どもみたいに大きな声を出して泣き始めた。
何がこいつをこんな風に泣かせているのかも分からないし、落ち着かせる術を持っていなかったおれは、とりあえず抱き締めた。

「とりあえず落ち着けって、な?」
「翔ぐーん…っ!」
「うわ、鼻水付けるなよ!てか、お前何もしてないし、プレゼントだって、おれ、嬉しかったぜ⁉︎」
「ぼんど…っ?」
「ボ、ボンド?」
「本当?って聞いたの」
「あ、あぁ、本当だって。部屋中がこんなプレゼントだらけじゃ、藍に怒られちまうな」
「藍ちゃんは別にいいよって」
「まじか。あいつ、お前には何か甘いよなぁ…」
「その代わり、ボクのスペースにある物は全部貰うって。だから、頑張って翔くんのスペースに納めてね」
「おれのスペース、このくまのぬいぐるみでいっぱいなんだけど…」

泣き止んだ私は、ティッシュで鼻を拭いていた。
よく見ると、こいつの格好がTシャツに短パンで。
深夜だからパジャマで来たのか。
生脚…。

こいつに会うのが久しぶりだったおれは、勿論溜まっていて、生脚だけで反応をしている自分がいる。
そういう年頃なんだから仕方がない、と言い聞かせた。

「な、なぁ、私」
「ん、なぁに」
「柄じゃねー事、言ってもいいか?」
「どうしたの?」
「おれ、誕生日プレゼントにお前が欲しい」
「………」

案の定、私はポカンと口を開けてしまった。
そりゃそうだ。
普段のおれなら、口が裂けてもそんな事は言えない。
そう、普段のおれなら。
でも、誕生日くらい、少し我儘を言っても良いだろうって。
それに、何故か今なら言えそうな気がしたから。

おれの言葉を聞いていたのかいなかったのか、私は突然立ち上がり、くまの首に括られていたリボンを取った。そして、あろう事かそれを自分の首に巻き始めた。
私の首元に蝶々結びで結ばれた大きなピンク色のリボン。
おれの気持ちが高揚している所為なのか、その私の姿がとても卑猥に見えて。

「翔くん、はいどうぞ」
「は?」
「だから、プレゼントだよ」
「おまっ、マジで言ってんの?」
「うん。私を受け取って?」
「まじか。本当に良いんだな?」
「翔くんだから、いいよ」

そのまま側にあった藍のベッドに私を押し倒し、激しいキスをして、おれは欲望の赴くままに二人の世界に浸ろうとした…。



「ょう…、翔…っ!翔!」
「ん…、」
「大丈夫⁉︎」
「あ、あれ、音也…?」
「もうすぐ本番だよ!起きて!」
「………」

………。
……、夢か。
あれは全部夢だったのか。
畜生…っ。

何が″お前が欲しい″だよ。

もう少しで良い感じだったのに、音也に起こされた。
でも、起こされていなかったら、色々危なかったかもしれない。

音也に半々な気持ちを抱きつつも、鏡で衣装や髪型等の最終チェックをして一緒に楽屋を出た。
寝癖が少しついちまったけど、別に良いか。帽子で隠れるし。

「そういえばさ、明日、翔と那月の誕生日だね!」
「……!」

6月8日、午後9時30分。
テレビ局の廊下にて。

どうか、あの夢が現実になりますように。
私に会えますように…。


君に会えたら


部屋に帰ったらお前が居そうな気がして。
仕事が終わったら、すぐに支度をして帰ろうかな、なんて。
そんな事を思った、誕生日の前日。


−−−−−−−−−−

翔、那月共に、内容的にお祝いしているのか、という書き終えた後に浮上した疑問…
ま、いいか 笑

翔くんが一番好きです!♡
Happy Birthday✧.*
お誕生日おめでとう\(^o^)/
Twitterにアップするお祝いの写真も撮りました!
日記にも載せたので、良かったら見てやって下さい…

以上、翔くんお誕生日おめでとう小説でした!

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