夢小説「400年の願い」

□10 初依頼
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「おっはよーございまーす」
 朝だからか、フェアリーテイルギルド内にはほぼ人がいない。 いるのはギルドの看板娘、ミラさんとリサーナ。 あとはマスター、エルフマンと、ちょっとしたギルドの仲間たち数名。
「おはよう、受けたい依頼があったら、クエストボードの紙を私のところに持って来てね」
 ミラさんはにこやかに言った。
 ギルドがどんなことをする場所かということは知っている。
 私はクエストボードと呼ばれる、たくさんの紙が貼られた掲示板の前に行く。 その紙にはいろんな場所からきた依頼が書かれていて、一番安いもので1000ジュエル。 高いもので――
「ドゥーシャ一人でこの依頼は、ちょっと駄目ね」
「ならミラさんと一緒に」
「私、ギルドの運営しなきゃいけないから」
 50万ジュエルの護衛依頼。 詳しい依頼内容は、最高二人の魔道士を、十五日後に行われるパーティーの護衛として雇いたいというものだった。
 スマイルを崩さず断固拒否するミラさんに対抗する私。 そんなとき、一人の人物がギルド内に入ってきた。
「ラクサス、丁度いいところに来たわ」
 初めて聞く名前に、興味をもって振り返った。
 ギルド出入り口には、図体のでかい金髪の男。  顔の右側に、目の上を通って稲妻のような傷がある。
 入ってきたばかりの男はこっちを見て、眉をしかめた。 知らない人間の私とミラさんが話していたのに疑問を抱いているのか、私をジロジロと横目で見ながら隣まで歩いてくる。
「なんだ?」
「この子、昨日新しくうちに入ったドゥーシャっていうんだけど、この依頼受けたいらしくてペアを探してるの。 どうせ暇でしょ?」
 ラクサスと呼ばれた男は「勝手に人を暇って決めつけんなよ」とぼやきながらも、依頼書を手に取る。
「……こんだけの仕事で50万ジュエルか。 やけに馬鹿高いな」
「でしょ? 心配だから新人一人で行ってほしくない依頼なの」
 そうなのか。 金持ちだから高いとか、そんなところだとばかり。
 ラクサスは私をちらりともう一度見ると、依頼書をミラさんに返し、背を向ける。
「行くぞ新人」
「は?」
 急な答えに、受けてくれないと思っていた私は拍子抜けた声で返事を返してしまった。
 そいつは立ち止まりもせず、出入り口の方へと歩いて行く。
 ついていっていいのか困惑していたら、ミラさんに急かされ、その後ろ姿にたどり着けるよう走った。
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