夢小説「400年の願い」

□4 秘密の共有
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 ひとつの広い机に、私を助けてくれたギルドメンバーとミラさん、その妹とマスターが集まった。 他のギルドメンバーは各々したいことをしているか、私の話に興味を持っているようだ。
「私が評議院の奴らに追われてるのは、私が特殊な人間だから」
 私は話す。 あまり知られたくないことだけど、この人達なら大丈夫という安心が、心のどこかにあったのだろう。
「特殊って、どういうこと?」
「きっと目からビームが出せるんだよ!」
 ハッピーが割と本気そうに言うが、全員無視。
「魔力が嫌っていうほど体内から溢れだす……こういうこと」
 隣に座っていたルーシィーの肩を、ポンッと軽く叩く。 すると、強い衝撃が走ったかのように目をカッと開き、小さい悲鳴を上げて体をのけぞらせた。
「ど、どうしたルーシィー!?」
「い、今、急に高い魔力が電気みたいにびりびり伝わってきて――何これ!?」
 本人も周りもざわめいた。
「私にもやってみてくれ」
 エルザが手を出す。 表情は真剣だが、どこか子供のような、好奇心に満ちた口調だった。
 その手に触れる。
「なっ――!?」
 熱いものにでも触ったように、すぐさま手を引っ込めた。
 驚きの様子を隠しきれず、私を見つめる。
「なんだなんだぁ!? 俺も触りてえ!!」
 身を乗り出して手を伸ばしたナツの手を、ハイタッチ感覚で受け止める。 結果、ナツ、机の上で撃沈。 強く当たったせいだろう、南無。
「だからさっき、私が握手を求めても応じてくれなかったのか」
「でも、どうして!? 全然魔力感じないのに――」
「体内に魔力を抑える、魔法陣のおかげ」
「魔法陣?」
「背中に、魔力を抑える巨大な魔法陣が描かれてるから」
 実際に見ればわかると言い、コートを脱ぐ。 ちなみに、着ていたのは厚手のコートと、普通に売られてる白いワンピースのみ。
 コートを脱ぐと、男性陣から声があがった。え、まだ魔法陣見せてないんだけど。
 まさかの反応に動揺する。
「ぬ、脱がなくていいからっ!」
「で、でも見てくれた方が分かりやすいんじゃ……」
「恥じらい持って!?」
 別に見せても減るものじゃないんだけど――
 昔やった同じやり取りを思い出し、わずかに目を伏せた。
「魔法陣のことはいいから、そんなに魔力が高い理由を聞かせてくれないか?」
「あ、うん。 えっとどこから話そうか……神様の贈り物っていう童話があるんだけど」
 知らないと思い、そこから話し始めようとしたらグレイが反応した。
「その童話知ってるぜ、女の子が主人公のやつだろ?」
「そういえば、列車の中で話したな」
 それなら手っ取り早い。
「簡単に言えば私はそのおとぎ話の主人公。 らしい」
 あたりが約三秒静まり、何も分かっていない様子でナツが首をかしげた。
「それがなんだよ?」
「あれ、だって、童話読んだならこう……うわーすごーいとか驚きの声上がるとこじゃない?」
「なんで?」
「だってさ、私が主人公ならっていうかそうらしいけど、もう400年も昔のことを童話にしたわけだから――あ、知らなかった?」
 またもや沈黙の三秒。 しかし後の反応が違った。
「ドゥーシャ、400歳?」
 最初のハッピーの一言とは裏腹に、すぐさま反応が返ってきた。
「「はあぁあっ!?」」
「どうも改めまして、ドゥーシャ・サクハです」
 やっと理解してもらえた。
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