夢小説「400年の願い」

□3 チャンス
1ページ/3ページ

 目が覚めると見慣れない天井がそこにあった。
 木製の天井、さわやかな風、木の香り。 知らない場所にいるはずなのに、どこか温かみを感じてほっとした。
 部屋の外で足音が聞こえると、次に、キィィと高い、扉の開く音。
「あら? 起きたのね、おはよう。気分はどう?」
 重い体をなんとか起こし、右に首を向けると、どこかで見たことのある人物がそこにいた。
「……ソーサラ―のグラビアアイドル!?」
「うふふ、そんなに驚いてくれると嬉しいわね」
 前髪を上で結び、肩まである銀色髪をふわっとさせた美女。 雑誌の人物と会うのは初めてかもしれない、ちょっと感動した。
「頭の具合はどう? 駅の床に思いっきり頭ぶつけたって聞いたわよ」
 ……そうだ。 そうだった!
「こ、ここはっ!? あいつらは!? まさかもう捕まったわけじゃ!!」
 ベットからこけるように慌てて降りると、窓の外を見る。遠くにたくさんの家々、雲ひとつもないすがすがしい青い空、山……
 視界がぐらりと揺れて、その場に尻もちをついた。
「慌てないで、私たちは味方よ。あなたをどうこうさせるつもりはないから、落ち着いて、ね?」
「あ、あの、なら、一体ここは、どこなの……?」
 怯えた私に、彼女はニコニコと優しい笑顔をつくってこう答えた。
「フェアリーテイル、魔道士ギルドよ」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ