Young Justice

□ペルソナ
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今日はオフと分かったので、僕とウォーリーで、街へと行こうと思った。
気分転換って大切だしね。ここの所、ミッション続きだったし……。
僕が予想してた通り、ウォーリーは「良いぜ!!」と嬉しそうに言って来てくれた。


僕達は、久々に年頃の男の子、として外に繰り出した。


街では、いつの間にかこんなビルが出来た、とか、新しいチョコレートショップが出来た、とか。新鮮な場所へと変わっていた。
「街に来ると言っても、戦いで、だからな。こんなに変わってるとは、知らなかったぜ」
「だね。いつも戦ってばかりだからね。目を向けてる場合じゃないしね」
僕とウォーリーは、コーヒーショップに入り、コーヒーを片手に持ち、街をぶらぶらと歩いた。



いつも来ている街なのに、何処か違う。新しい楽しみが出来たかも、とか、そんな事を思っていた。
「にしても、まさかディックから誘いが来るとはな〜」
「僕だって、息抜きはしたいよ」
「ははっだな」
僕はコーヒーを、ストローで飲みながら、歩いていた。
「……ねぇ、ウォーリー。人間ってさ、仮面を被り続ける生き物なのかな」
「はぁ?いきなり、何言ってんだよ」
「いや……。……」
僕は、強がりなスーパーボーイを見て、そう思ってしまった。人間でなくても、何故、仮面を被るのか、と。
大丈夫?と聞いても「大丈夫」と返って来るのが、この世の中だ。本当は大丈夫じゃない事ぐらい、知っているのに。何故、「強がりの仮面」を被るのか。
僕が俯いていると、背中を叩かれた。
「いたっ」
「なぁに、下、向いてんだよ。……そりゃあ、俺達人間は、相手の顔色を見ちまって、平気じゃないのに、平気な顔したりするけど……、仕方ねぇよ。そんな世界に、生まれちまったんだから。あ、けど、ディックは、俺に仮面なんか、被ってねぇじゃん。それで良いって」
そう言って、僕を抱き寄せるウォーリー。
そんな優しいウォーリーに、僕は泣きそうになった。
勿論、僕だって、ウォーリーに、仮面何て被ってない。素を、いつだってって訳じゃないけど、出している。彼になら、”僕”を見せても良いから。そう思っている。
「僕もだよ、ウォーリー。君に、嘘を付いた事だって無い」
「だな!流石、俺のディック」
「いつから君のだよ」
そんな事を言って、笑い合っていた。
仲良く、手なんか繋いで。街中を歩いていた。

まるで恋人同士のように、僕らはその”普通の日常”を楽しんでいた。
ゲームセンターに行ったり。
久々には、と、ショッピングしたり。
新しいゲームソフトを見に行ったり買ったり。

一日をめいいっぱい楽しんだ。
「いつまでも一緒だぜ、ディック」
「僕もだよ、ウォーリー」
日が暮れる、そんな幻想的な風景を背に、僕らは軽いキスをして、海を見つめていた。







そんな、仮面を被らない、とか、言っていた僕だったけれど、嘘を付いてしまった。

ウォーリーとアルテミスが付き合った事を知った時。
笑顔で「おめでとう」何て言ってしまった。
これが、初めて付いた嘘であり、仮面を被ってしまった。

部屋に戻る僕は、泣き崩れていた。
「何で……。ああ言ってたじゃないか……」
僕は、ウォーリーが僕にかけてくれていた言葉を思い出しては、涙を拭えない程に流していた。
こんなにも、失恋って辛いんだ。
何て、そう思っていた。
初めて恋した相手。初めて素性を明かした相手。初めて寝る、と言う事を経験した相手。初めて……。
僕の初めて、を全て奪ったくせに、あっさり裏切るのか。
そんな事まで、思っていた。
「ディック?」
コンコンと、ノックと同時に、声が聞こえた。スーパーボーイだ。いや、コナーか。
「なに」
「……開けてくれ」
「嫌だ」
「何で。………辛いんだろ?辛いんなら……俺を頼ってくれ」
何で、どうして、分かるの。君に、僕の心が……。
「前に言ったろ?”僕を頼って”って。なら今度は、俺を頼ってくれ」
僕は流れる涙を、止める事は出来なかった。泣きながら、コナーを部屋に入れた。
入れた途端に、抱き着かれた。
「ちょっ……!何やって……!」
閉まる部屋のドア。僕はコナーの体重に負けて、そのまま床に倒れた。
「いてっ」
「……辛かったろ」
「コナー……。………うるさい。僕から離れろよ」
僕は彼の顔を打ってしまった。その拍子に、僕ははっとした。
何、やってるんだ。何の関係も無いコナーを打つ何て……。僕は咄嗟に「ごめん」と言った。コナーは僕の手を握って来た。
「辛いんなら、何で素直に辛いと言わない」
「………君が、大丈夫。と言うのと同じだよ。………ほっといてくれ」
「ほっとけるか、馬鹿」
そう言ってコナーは、僕の事をぎゅっと抱きしめて来た。
「……辛いんなら、俺を頼ってくれ」
「コナー……」
僕は思いっ切り泣いた。コナーに縋り付くように、泣いた。辛くて辛くて、泣いた。
家族が死んだ時よりも泣いた気がするぐらいに。


ねぇ、僕はこれから、どうして行けば良いの……?













END(あとがき)

ミルビ様、Twitterの方でのリクエスト、ありがとうございました!
コナディクもお好きと仰っていたので、両方取り入れてみました(笑)シリアス傾向になってしまい、申し訳ないです……。
気に入って頂ければ、幸いです。

ここまで読んで下さって、ありがとうございました。

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