Young Justice

□夕陽
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いつか、ロビンが見せてくれたその夕陽は、とても綺麗だった。
だから俺は、それが好きになっていた。
晴れていれば、必ずここに寄った。
それぐらい、好きになっていた。


「君も物好きだね」

いつかロビンが俺にそう言った。
けど、見せてくれたのは、お前だろう?
だから好きなんだ。お前が俺に見せてくれたあの時から。お前の事も。

言えないこの想い。俺だって、何を言って良いか悪いかぐらい、分かっている。男同士の恋愛と言うものは駄目だと、分かっている。だからこそ、その駄目な理由を知りたいが、誰にも聞けない。だから悔しい。
どうしようも出来ない、そんな単語が頭の中で浮かんだ。
けど夕陽はそんな事はお構い無しのように、綺麗に輝いていた。

「あれ、スーパーボーイ?」
「っロビン!?」
突然隣に現れた男に、俺は驚きを隠せなかった。
「どうしたの?」
「いや、………ここの場所が気に入ってな」
「そうだったんだ」
俺は立って夕陽を見つめていたが、ロビンは座っていた。
「………僕もここ、好き」
「……」
「………キッドと喧嘩した後は、ここに必ず来るんだ」
「喧嘩したのか」
「うん………」
ぎゅっと手の平を握りしめるロビン。
俺ならお前と喧嘩なんかしないのに。
そう、いつの間にか思っていた。
「………僕が決まって悪いんだけどさ」
「そうか」
「………どうしてこうなるのかなって、いつも思っちゃうんだ」
「ロビン………」
「情けないよね。………答え方が分からなくて逃げて……」
「そんな事ない」
俺はいつの間にか、そう言っていた。
「スーパーボーイ……。君は優しいね」
その時、急に風が強く吹いた。ロビンのマスクが飛んだかと思ったが、それは違った。けれどロビンはマスクを外していた。
「………ごめっ」
「ロビン………」
ロビンはいつの間にか泣いていた。だから俺は、そんなロビンを引き寄せた。
「泣きたいんなら、貸してやる」
「スーパーボーイ……。うん、ごめん」
ぎゅっと俺の背中を握りしめるその手は、俺からしたら小さく思えた。

俺ならロビンをこんな悲しい目に遭わせないのに。

「………キッドを怒らせるつもりで言ったんじゃ無かったんだ」
「うん」
「僕が悪いのに………」
「うん」
「分かってる。いつだって僕が悪いんだって」
「そんな事無い」
「……っ、スーパーボーイ……」
「ロビンが全部悪いんじゃない。そうやって責任を全て押し込むな」
「……………うん、ごめん」
ぐすっとまだ泣くロビン。俺もロビンの背中をぎゅっと握っていた。
「………ありがとう」
そう言って俺からロビンは離れた。
「君って、優しいよね」
「そうか?………普通だろう」
「ううん、優しい。……けど、ありがとう。すっきりした」
にこっと笑うロビン。俺の胸の鼓動は、揺れた。
「夕陽、綺麗だね」
「あっあぁ……」
「帰らなきゃ」
「ロビン」
俺はロビンの腕を掴んでいた。待ってくれ。今のまま、お前を行かせられない。
「……どうしたの?」
「行かないでくれ」
そう言って俺はロビンを引き寄せ、抱き締めた。
「ロビン、好きだ」
「………スーパーボーイ……」
「大好きだ、ロビン。だから、行かないでくれ」
俺は、もうそう言っていたんだ。自制何か出来ずに、ロビンに想いをぶつけていた。ロビンはぎゅっと俺の背中を握り締めていた。



そんな様子を、遠くの方から、キッドフラッシュが見つめていたのを、俺は知っていた。












END

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