Young Justice

□後悔
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ある日、俺はいきなりスーパーボーイに殴られた。理由を聞いたら、ディックを一人にしてどうする、と言われてしまった。

そう、俺はアルテミスと恋人同士だ。その事が引き金となり、ナイトウィングを思いっきり、傷付けてしまった。勿論、その事に俺が気付いていない訳ではなく。分かってはいたけれど、どうしたら良いか、分からなかった。

「………るっせーな。お前に言われる筋合い何かねーんだよ」
「なら、彼を傷付けたままにするのか?」
「…………」
俺は殴られた拍子に倒れ込んだが、立ち上がる気力が起きて来なかった。
「……だったら、どうすれば良いんだよ。俺には、どっちも大切だ。アルテミスもナイトウィングも……」
「………なら、新参者よりも、親友を選ぶべきだと俺は思う。けど……お前がディックを選ばないんなら、俺が貰う」
は?俺の思考回路は一瞬停止した。どう言う事だ?スーパーボーイって、ナイトウィングの事が好きだったのか?けどあいつにはメーガンが居て……。まぁ、結果は別れてたけど。俺は暫く、スーパーボーイの様子を見る事にした。


スーパーボーイは、本当にナイトウィングに告白したのか良く分からないが、確かにずっと傍に居た。どんなミッションでも、スーパーボーイはナイトウィングを優先してて。まぁ、ナイトウィングが司令塔だから、あまりミッションには行かないけど。けど、常に彼の傍に居た。その事に腹が立った。何故だか分からないけど。
そんな時、こんな会話が聞こえて来た。
「……えっ?今夜?」
「ああ。どうだ?」
「………まぁ、皆が寝静まった深夜とかなら………」
「なら、決まりだな」
まさか、と嫌な予感が横切った。けれどそれを邪魔したくても、今の俺にはアルテミスが……。俺が二人の様子を睨むようにして見ていたら、アルテミスがため息をついていた。
「なに、あの二人。まさか、付き合ってんの?男同士なのに?」
「………愛には、色んな形があるもんだよ」
「あら、庇うのね」
「…………」
そこで俺は、黙ってしまった。庇うつもりはなくて。ただ、言葉が出て来なかったんだ。どうしたら良いんだと言う、感情しか出て来なかった。


そして、俺は二人の行動が気になって、寝たふりして二人を待ち伏せしてた。マウント・ジャスティスから出るにしても、出入り口に居れば、出会うだろう。そして二人は来た。
「疲れてる所、悪いな」
「大丈夫さ。俺はここの所……司令塔として動いてるだけだしね」
俺はこそこそとその様子を見ていた。ナイトウィングの髪に触れるスーパーボーイ。その行動に少し苛っとした。
「それじゃ、やろうか」
「ああ」
やるって、何をだ?俺が見ていると、二人は突然戦い始めた。あぁ、訓練か。にしても、何でこんな夜中で二人きりで……。俺は疑問しか浮かばなかった。


それから30分以上は訓練をしていた二人。そろそろ休憩、と言ったのはナイトウィングだった。
「体力落ちたか?」
「ちょっとね……」
ふぅ、と一息ついて座り込むナイトウィング。スーパーボーイは、自分が飲んでいた水の入ったペットボトルをナイトウィングに渡していた。
「ありがとう」
「………なぁ、ナイトウィング。その………二人の時だけ、本名で呼んでも良いか?」
「えっ………。まぁ、良いけど……。俺は、どうしたら良い?」
「お前も、俺の事は……コナーって呼んで欲しい」
っ、マジかよ。俺は言葉を失った。まぁ、元から話せないけどな。盗み見てる何てよ。羨ましいと言うか、懐かしいとも感じた。けど今の俺にはそんな事は叶わなくて。ナイトウィング……ディックに触れる事さえ、許されない。分かってはいたけど、ここまで辛いものだとは、思いもしなかった。


それから2日ぐらいが経って。俺は二人の様子を伺っていた。
「ディック。ここの所で意見を聞きたいんだが……」
あれからずっと二人きりになると、本名で呼び合う二人。くそ、嫌がらせか?ふざけんなよ。
ここで俺は、ふと思い出した事がある。こう、盗み聞きしてるのは良いんだけど、スーパーボーイの聴力ってヤバいんじゃなかったっけ。俺の足音なんか、聞き取れてんだろ、つまり、これは嫌がらせだろう。見せつけて………。あぁ、くそ。余計に腹が立って来た。
何でこう、何も出来ないんだろう。スーパーボーイのポジションは、元は俺のだったのに。
最初の頃は、楽しかったな。大好きなディックと一緒にミッションが出来たり、同じ時間を過ごせたり。……アルテミスの魅力に気付かなければ、俺は変わらずに済んだのかな。



END

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