Young Justice

□足らない言葉
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ロビンとずっと一緒に居るが、未だに本名を知らない。キッドフラッシュは知ってそうだな。だが教えてはくれないだろうな……。だから俺は直接本人から聞くことにした。

「僕の本名?えっ、いきなりどうしたの?」
「いや……。ただ、気になっただけだ。仲間何だから、教えろよ」
「………ディック・グレイソンだよ」
「ディック、か。可愛い名前だな」
「なっ……!」
予想通りの反応で、俺はつい笑ってしまった。ロビンが俺に対して怒ってる時だった。誰かがロビンの名前を呼んだ。
「っと、スーパーボーイも一緒か」
「あっウォーリー」
「……」
俺はこいつ…キッドフラッシュに以上にはなれない。俺との違いが沢山あり過ぎて。何故こんなにも違うのだろうと、自分がこうして生まれて来た事に対して、呪いたくなる。だがこうして生まれなければ、ロビンと出会う事も無かったと思うと、難しい。
「どうしたの?」
「暇だからさ、どっかに一緒に行かないかなと思って、来たんだ」
俺が側に居ることにはお構いなしか。俺が咳払いをすると、キッドフラッシュは俺の方をやっと見た。
「あー……。スーパーボーイはどうする?」
「二人で行きたいんだろ?なら行ってくれば良い」
俺は足早にその場から立ち去る事にした。分かっていた。いつでもロビンには、キッドフラッシュが居ると言う事を。そしてロビンを奪って行く。ロビンは誰のものでも無いが、キッドフラッシュに勝てる相手はいないと思う。



そう思っていた。キッドフラッシュがアルテミスと付き合うまでは。その事実を知ったロビンと来たら、部屋に閉じこもっていたしな。予想外過ぎて、俺はロビンに掛けてやる言葉が、見つからなかった。
俺はメーガンと付き合い出してしまったしな……。

……その事でロビンを、一人にさせてしまった。それに気付いたのは、メーガンと別れてからだ。もうロビンじゃないか。ナイトウィングは、いつも何処か寂しそうにしている。俺は普通の人と違い、成長するスピードが遅いために、ナイトウィングの方が先に大人びてしまった。勿論考え方も。だから、キッドフラッシュとアルテミスが付き合い出した時も、悲しそうな顔でおめでとうと言っていた。
俺にはその時のディックの顔が……忘れられなかった。


レッドアローは相変わらずディックの事を追っかけていて。俺はそんな自由な彼に憧れた事もあった。けどそのレッドアローがクローンだったとは……。本人が一番、どうして良いか分からないだろうが、ディックもだろう。信頼していて、ずっと共にして来た仲間が、クローンでスパイだった。これじゃ誰を信じて良いか、分からなくなってるんじゃないか?だから俺は、ディックを……ナイトウィングを呼び出した。



「珍しいね。君が俺を呼び出すなんて」
「……たまには、ゆっくり話をしたいんだ」
「良いよ。インパルスに連れ回されるから、マウント・ジャスティスにはいたくなかったしね」
苦笑いをしながらナイトウィングは、俺の隣に座った。俺達が今居る場所は、ビルの上だ。ここなら落ち着いて話せるからな。
「………ナイトウィング。大丈夫か」
「………えっ?あっインパルスに連れ回されたと言っても、そう毎日じゃないから大丈夫さ」
「そうじゃなくて。………レッドアローの事でだ」
「っ……」
ナイトウィングは顔を背けた。……やっぱり、聞かれたくなかったか。
「………ショックだったよな。あの時、何も出来なくて悪かった」
「スーパーボーイ……」
俺はナイトウィングの肩を掴み、側に引き寄せた。確か相手が悲しんでる時はこうした方が良いとか、ドラマで言っていたような気がする。
ナイトウィングは、それから暫くは黙ったままだった。
「………恋愛感情とか、チームメイトに、いや同性に抱いてはいけないって、分かっていた筈何だけどさ。……難しくてね。そこだけは、成長出来てないと思うと、リーダー失格だよね」
「そんな事無い」
俺は即答してしまったが、そこから先の言葉が見つからなかった。
「………相変わらず、君は優しいね。メーガンが好きになった理由も、何と無く分かる気がするよ」
はははっと笑うナイトウィング。……その名前を、出して欲しくなかったな。が、仕方ないか。ナイトウィングは、はぁ、と深いため息をしていた。
「………俺がナイトウィングと名乗り出してから、ウォーリーは……キッドフラッシュは、ディックとあまり呼んでくれなくなった。だから、かな。余計にアルテミスの事がね、羨ましく思えたりしてたんだ」
言われてみればそうか……。キッドフラッシュは、アルテミスしか見ていなくて。親友と呼んでいた仲は何処に行ったのか。俺は少し気掛かりでもあった。だがそんな事本人達に聞ける訳でも無く。
「複雑だよ。ロビンの名を次に任せた事も、キッドフラッシュの事も。レッドアローの事も……。本当にああして良かったのかとか、今更後悔してる所が多いんだ」
「……」
答えられない自分が悔しい。今の俺に、一体何が出来るんだろう。出来るとしたら、ただ抱き締める事ぐらいで……。ふと、腕の中にいるナイトウィングが、ははっと笑っていた。
「………これから、どうなるんだろうな。俺達は」
「………大丈夫だ。お前には、俺がいる。何が何でも、お前から……ディックから離れたりしない」
「スーパーボーイ……」
俺はナイトウィングを、ぎゅっと抱き締めた。何故こいつがこんなにも傷付かなくては、ならないのだろう。

ナイトウィングが悪いんじゃない。こうしていく世界が悪いんだ。だったら俺は、そんな世界を壊す。ナイトウィングが……ディックが悲しまない世界に。今の俺になら、その力がある。だから、待ってろ、ディック。今俺が。











END(あとがき)

大変。スーパーボーイがヤンデレっぽくなってる(汗)書いてて何故かこうなってました、すみません……(笑)

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