Young Justice

□本当の気持ち
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本物のスピーディこと、アーセナル。アイツは今まで何があったか。何が起きたかを全て知っていた。まぁ、レッドアロー達が教えたんだろうけど。そして、俺はアーセナルからこう言われた。

『ロビンを見捨てたお前に、ロビンの事は任せられない』

確かに俺は、ディックよりもアルテミスを選んだ。あれだけ好きと言っておきながら、結局ディックを見捨てた。……分かっていたんだ。初恋は叶わないって。だから俺はアルテミスと付き合った。その結果ディックの心を傷つける事になるなんて、想像もしなかった。

アーセナルが俺の前に現れて、もう一週間が過ぎた。俺は俺でアクアラッドが裏切ってないか、探っていた。アルテミスの事が心配だから。そう言ったらきっと大体の奴にはそう聞こえる筈。本当は……。
マウント・ジャスティスがない今、俺達は新しい場所で会っていた。その場にはアーセナルも居た。
「よう」
「………」
相変わらずアーセナルは、俺を敵視していた。って当然か。この場にディックが居ない事が幸いだな。沈黙が流れてる時、その沈黙を破ったのが、メーガンの叫び声だった。
「二人共居るわよね!?」
「おっおう。どうした?」
「ナイトウィングが攫われたの!助けて!」
「なんだって!?」
俺達は耳を疑った。あのディックがまさか……。何でも、メーガンを助ける際に身代わりになり、捕まったらしい。しかもディックを攫った相手はアクアラッドとか……。やっぱりアイツ、裏切ってんじゃないのか?俺の予想は的中してしまったのだろうか。色々考えている時だった。アーセナルの舌打ちが聞こえた。
「お前が、ロビンを見捨てたからこうなったんだ」
「なっ……!」
「お前がロビンとずっと一緒に居たら。昔のようにずっと傍に居たら、こんな事にはならなかった」
図星だった。そうだ。ディックの危機には、いつも俺が駆けつけていた。それはディックの事が誰よりも大切だったから。けど今じゃどうだ。ディックよりもアルテミスを優先して。その結果がこれだ。アルテミスの事を、忘れなきゃ駄目なのか……。
とにかく今は、ディックを救い出す事が目的だ。アイツは司令塔の役割もしているから、居ないのはまずい。メーガンに最後に居た場所を教えてもらい、スーパーボーイも呼んで助けに行く事にした。メーガンは一応ディックに発信機を付けたと言っていた。バレてなきゃ良いけどな。つか、アーセナルだけはナイトウィングの事をロビンと呼ぶ。やっぱ、あいつの中のロビンは、ディックだけって事か。




発信機を辿ると、そこは廃工場だった。
「俺が指示を出すから、従えよ」
偉そうなアーセナル。まぁ、仕方ないか。みんな取り敢えず頷いてはいた。だがアーセナルの指示は的確で。正直動きやすかった。そしてディックの所までたどり着けた。だがそこにはアルテミスも居た。
「っ……」
「アクアラッド!ナイトウィングを返して!」
メーガンは何も知らないからそう言っていた。勿論スーパーボーイもアーセナルも何も知らない。知ってるのは、俺とナイトウィングとアクアラッドとアルテミスだけ。最もみんなアルテミスが死んだと思っているが。……本当はその方が都合がよかったのに。
「駄目だ」
「何故!」
「必要だからだ。彼のDNAが」
おい、そんな話知らねえぞ。やっぱりお前が裏切って……。つかアルテミス。その事に気付くよな?気付かないフリとかしてんのか?俺はもう誰を信じていいか、分からなくなっていた。メーガンとアクアラッドが話している隙に、ディックを救い出す作戦だ。ディックがアルテミスの後ろでロープで縛られている。気は失っていて動き一つしない。だから俺は焦っていた。ディックが目を覚まさないと、作戦が失敗しやすいからだ。アルテミスがそれを察してくれるのが一番なんだけど。この分だと難しい。だから俺は煙幕を使った。そしてアルテミスの所に向かった。
「アルテミス……。ナイトウィングを返してくれ」
「………それは」
そこで狼狽える時点でおかしいだろ。だから俺はアルテミスの腹を殴った。
「ウォーリー、どうして……」
「……すまない」
気絶させ、俺はディックを担ぎ、その場から逃走した。メーガンのテレパシーを使って、ここから出て作戦Bの場所に集合と告げた。





作戦Bの場所。そこは廃工場から遠い街の方だ。ここならばれないだろう。俺はディックを横に寝かせ、眠る顔を見つめていた。息はしてるから安心はしている。ただ、目を覚まさないからちょっと不安だ。
「………ごめん、ディック」
俺が曖昧だから。俺がお前の事をもっと考えていれば、こんな事には……。
「このままロビンが目を覚まさなかったら、お前のせいだからな」
アーセナルの声が後ろから聞こえた。そこにはメーガンとスーパーボーイも居た。
「………あぁ」
「ちょっとアーセナル……。それは責任を押し付けすぎじゃ……」
「いや、俺のせいなんだ。何もかも……」
そうだ。全部俺が悪い。分かっているとも。だから俺は、決心しなくてはならない。いや決別かな。
「……とにかく、ここじゃあれだ。場所を移そう」
スーパーボーイがそう言い、俺はディックを担ぐと皆が居る新しい基地へと向かった。



そこにはいつの間にか、ロビン(三代目な)、ビーストボーイやインパルス、バンブルビーが居た。メーガンは今までの経緯を話していた。俺はディックをベッドに寝かせるや否や、アーセナルに殴られた。
「いってぇな!」
「お前がこうだから、ロビンがこんな目に遭うんだろ!」
ディックは一見無傷のように見えたが、服の下は痣だらけだった。手当てをするんでスーパーボーイが脱がせた時に分かった。
「だって……!」
アルテミスが。と言おうとしたが彼女は死んだ設定になっている。だから言えなかった。
「だって、何だよ。言い訳があるなら聞いてやる」
「おい二人共、怪我人の前で喧嘩は止めろよ」
ディックを治療するスーパーボーイはそう言うけれど。黙ってられるかってんだ。けど、煩いよな。俺達はこの部屋を出た。するとロビンが俺に近付いて来た。
「あんたさ、ナイトウィングの親友なんでしょ?それなのに、これで良い訳?」
また痛い所を突きやがって……。
「……その、私が言える事じゃないんだけど。ナイトウィングの事を一番分かっているのは、キッドフラッシュだと思うの。彼の過去も全部知ってるのは、あなたぐらいでしょう?彼を支えられるのは、あなたしか居ないのよ」
そうバンブルビーに言われてしまった。
「そうそう。だからアルテミスの事は忘れて、ナイトウィングと一緒にいなよ」
「ちょっとインパルス……!」
「………いや、インパルスの言う通りだよな」
俺がそう言うと、此処に居た皆が驚いた顔をしていた。
「アルテミスは死んだ。アクアラッドによって殺された。……復讐してもアルテミスは戻らない。だったらその分を生きるしかない。そして、俺を必要としてくれている人が居るのなら、そいつの為に、一緒に居るべきだよな」
俺がそう言うと、俺の肩を叩いて来たのは、ディックだった。
「っ!ナイトウィング……。起きて大丈夫なのか?」
「あぁ……。それよりも、今の発言……」
「………後で話すよ。それよりもお前は寝てろ」
動く事さえ、辛い筈だ。だから俺はディックをベッドまで連れて行った。
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