TEEN TITANS

□exception
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スレイドと戦って、僕は彼に、何処か自分と似ている様な気がしたんだ。気のせいかもしれない。……けど、僕はスレイドから預かった通信機を壊す事無く、持って帰ってたんだ。そして、彼と連絡を取り合っていた。何故そうしたのかは、僕でも分からなかったんだ。



「……スレイド?聞こえてる?」
『……ああ』
今日も、彼と通信を交わす。もう日課になっているのかもしれない。彼と連絡を取らないと、何処か不安になる自分が居るんだ。おかしいよな。そんな事、あり得ない筈なのに。
「調子はどう?」
『……いつもと同じだな。お前の方は、どうなんだ?風邪とか引いていないか?』
「大丈夫さ。健康管理はちゃんと出来てるよ」
『それなら良かった』
僕が、自分の部屋で話していても、必ず誰かがスレイドとの会話を邪魔するかのように、ノックをして来るんだ。
「あっごめん。誰か来たみたいだ。もう切るよ」
『……ああ。またな』
「うん、また」
慌ててその通信機をポケットにしまう。そして、何事も無かったかのように、僕は荒れたベッドを直しているふりをしていた。と言うよりわざと荒れたようにして、寝相が悪くて今起きたと言う感じを出していた。
「ロビン?起きていますの?」
「ああ、起きてるよ。スター」
「朝食が出来てますわ。早く食べましょう♪」
「うん、今行くよ」
僕の部屋に来たのは、スターファイアだった。彼女は最近、勘が鋭いから、要注意人物な事は、内緒だ。
僕は部屋を出て、みんながいる広間へと向かった。

サイボーグがふざけてピンクのエプロンを着ていたのが、目に入った。
「ようロビン。おはよう」
「ああ。おはよう。……今日の朝ご飯は何?」
「特製フレンチトーストとサラダ、厚切りベーコンと目玉焼きだぜ」
「美味しそうだ」
僕はカウンターに腰をかけ、朝ご飯を頬張っていた。


そして食べ終わって、出動が掛かるまで、いつものように、サイボーグとゲームをやろうと思った。その時だった。スレイドの通信機のバイブが鳴ったのだ。
「あっ……サイボーグ。ちょっと待ってて。トイレに行って来るから」
「おう。なら準備しておくぜ」
トイレに向かい、僕は鍵を閉めた。
「……もしもし、スレイド?どうかしたのか?」
『……実は今、タイタンズタワーの近くに来ている。平気そうなら会わないかね?』
「えっ……」
今から?……会いたい。スレイドに触れたい。けど今外に行ったら、怪しまれる。
「……ごめん。難しいから無理だ」
『……そうか。ならまたの機会に』
「あぁ……」
そこで通信は切れた。僕はこのたった一つのチャンスを、逃してしまったんだ。




それから二週間後。レイブンの予言の日が来てしまったんだ。世界が滅んだその時、僕はスレイドと出会った。彼について行けば、レイブンを救える方法を教えてくれると言った。だから僕はついて行ったんだ。あんたと最後になるかもしれない時間を、過ごしたかったから。
「……聞いても良いか?」
「なんだ」
「……トライゴンを倒したら、あんたはどうするんだ?」
「……さあな」
「……一緒に、来ないか?」
「ふざけた事を言うな。……それに行けたとしても、俺はお前達の敵と認識されている。無駄だろう」
「………」
返す言葉が見つからなかった。僕が良くても、スターファイアやサイボーグ達が黙っちゃいないだろう。僕はそのまま、沈黙を守り続けた。

別れ道になった時、僕はスレイドにある物を渡した。
「……これは」
「お守りだ。……お互いに無事此処から出られるように」
「………ふっ。有り難く貰っておこう」
スレイドは、またなと言って、行ってしまった。僕は拳をぎゅっと握り締めて歩き出した。


そして、トライゴンを倒して世界を救って。……スレイドは、もう僕達の前に現れる事は無かった。分かっては居たけれど、……何だか悲しいな。



もう一度だけ、あんたに会いたかったよ。




END

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