少女たち(夢)

□三本の糸
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「(この世界に来てから一週間、なんとなくこの世界のことが分かってきた気がする)」


名無しはジョナサンとその愛犬ダニーと一緒に散歩しながら考えていた

最初は食事の作法や礼儀、習慣などに慌てたものだが一週間もすればある程度は使いこなせるようになっている


だが、どうにもこの世界(時代)の服装には慣れない


「(まるでドレスみたいだし…)」


ドレスのような服には慣れず、今も女性用の作業服に似たものを着ている

作業用と言っても家事用のようなもので少しは可愛げがある


ジョースター郷とはなんとかうまくやっている

結局私は記憶が戻るまで、あるいは私の親が出てくるまでジョースター郷のところで過ごすということになったようだ

まあ、違う世界から来たので親が名乗り出るということはありえないのだが…

一応ジョースター郷から見ればただの迷子のようにみられているようだ

そして、一つ記憶の違いにも気づいた
こちらの世界に来る前より年齢が幼くなっていることだ
それに関してはまだ不便は感じていないので頭からそんな混乱する情報はできるだけ追い出しているが


「…!名無し!!」



そこで名無しはジョナサンに名前を呼ばれて、はっとした


「ん、なに?」


「どうしたの?すごく怖い顔してたよ?」


怖い顔していたんだと気づく

これからどうしようかと考えているだけだったのだけど


「んーん、ぼーっとしてただけ」


笑顔で返事をする

ジョナサンはそれを見ると安心したような顔をしたあと走り出した


「ダニー!名無し!捕まえてごらん!」


言うと同時に小走りから全力で走り出した

ダニーに関しては犬なのですぐに追いつくと思うのだが


名無しは考え事をしていた気分を変えようと大きく息を吸い込むとジョナサンの後を追う


女が男に追いつけるかと言ったら難しいが全力で走る


「…!!?」


名無しは驚愕した

自分の身体が軽いのだ、足も軽く早く動く

きっと、この一週間走っていなかったからだろう

あるいはジョースター郷に見つけ出される前の目覚めるまでの時間が長かったのか


「(まあ、いいや!)待てー!!」


走り出して考えていたことが吹っ飛んでいい気分になった名無しはノリノリでジョナサンを追いかける

ところが予想よりもずっと早く追いついてしまった

そう、ジョナサンはそれほど足が速くなかったのだ


「あーあ、捕まっちゃった〜
名無しは足が速いんだね!」


「…そう、みたい、だね」


記憶がないことにより自分の足の速さもわからなかったことに気づき言葉がつまる

考えても仕方のないことだが悲しい


ジョナサンはそれに気付いたのか気づいていないのかはわからないが名無しの手を掴んで目の前の川辺まで走り出す


「この前、この川できれいな石を見つけたんだ!探そうよ!!」


「・・・うん!」
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