少女たち(夢)

□好敵手
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1.


ディオの宣言通りディオはジョナサンに様々な嫌がらせをしてきた
でも私も負けじとジョナサンをフォローしてきたし、ディオが理不尽なことを言えば言い返してきた


「(でも…勉強と食事のマナーはディオのせいにはできないんだけどね…)」


そう思いながら名無しはこっそりと夕食のパンをジョナサンの部屋まで運んでいた

昼間にはジョナサンとディオはジョースター郷に勉強を見てもらっていたが、ジョナサンが同じミスを6回も繰り返し

先ほどまでの食事ではボロボロと食べ物をこぼし、終いには飲み物までこぼしてしまいジョースター郷に「夕食抜き」と言われ
ジョナサンは自室に戻り現在に至る


「(勉強くらいだったら、昼間見てた限りじゃ私でも教えられそうな感じだったけど…)」


名無しがジョナサンの部屋に向かっていると後ろから早足で近づいてくる足音が聞こえてきた


…ディオだ

名無しは持っていたパンをディオに見えないように後ろ手に回しながら、振り返る


「名無し、パンなんか持ってどこへ行くんだい?」


とっさに隠したがばれてしまっているようだ

これ以上隠しても意味が無いなと思い名無しはパンを体の前に持ってくる


「あとで自分の部屋で食べたいなーって思ったからね
それと、今はそんな猫かぶりな口調じゃなくてもいいんじゃないの?」


ディオを多少煽るように言う

普段ディオは猫かぶりをしている、さっきの少し優しげな口調はそこから来ていた


「悪いな、俺は用心深いんでね
周りの安全を確保してからじゃないとこうやって楽にしゃべれないんだ」


「まるで私のことを用心深くないって言ってるみたいに聞こえるんだけど?」


「そう聞こえたんならそう受け取ってくれて構わないが?」


お互いに挑発し合う二人、世間一般的に見れば仲が悪いようにも見えるが実はお互い正直に話していて
見ようによっては仲がいいのだ

実際にも、この二人はこの会話の間もリラックスして話している

それぞれ今までここまでリラックスして、本音を言い合える相手はいなかった

名無しはジョナサンもいるがやはり、自分のこういう黒いところは未だにジョナサンにはみせていない



「フンッ、まあいいが…
俺はここロビーでチェスをするんでね、くれぐれも俺の集中を妨げるようなことはしないでくれよ?」


やけにすんなり引き下がるディオに違和感を覚える

いつもならもっと突っかかってきてもいいはずなのに…

不思議に思いながらもジョナサンの部屋に向かおうとした矢先、あることに気付く

ディオはここロビーのテーブルのところでチェスをしている


「(ディオがロビーに居たままじゃジョナサンの部屋に入れない!)」


そうディオはそれを狙っていたのだ

たとえ名無しがこのままジョナサンの部屋に入れば、すぐさまジョースター郷の元に行き
名無しがジョナサンにパンをあげに行ったことを言ってしまうだろう


どうしよう…


名無しが打開策を考えていると…



『食べ残しのチョコだ!!』



ジョナサンの嬉しそうな声が部屋から聞こえてきた

どうやら名無しが心配する必要はなかったようだ

名無しはほっと息をつきディオの方へ体を向ける

ディオは眉の間にしわを寄せていた


「残念だったねディオ」


名無しはそういいながらディオの正面の椅子へ腰を掛ける


「…ハッ、なんのことだ?」


ディオは誤魔化そうとしているのか、鼻で笑って返した
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