シュガーでごめんあそばせ
□12
2ページ/5ページ
どひゅんっ!!
目の前を、必死な形相のウソップが凄まじい勢いで走り抜けていった。
『あ!キャプテン!』
ぶわっ、と巻き上がった風に靡く横髪を押さえながら、彼を目で追う。
「なんだ……ルフィは一緒じゃなかったのか……」
「なんかあったんですかねー」
「まだ怒ってんのかしら、お父さんバカにされたこと」
ナミ姉さんの呟きに、ゾロが短く返事を返す。
「違う!今の顔は違う!!」
「うん!!何かあったんだ今、海岸で!!」
「あんなに血相変えてどうしたんだろう!!」
子供達が不思議そうな顔をしながら口々に言うと、ゾロがなにか思い立ったのか海岸の行き方を尋ねる。
「なんかさー、事件のにおいがしないか!?」
「うん、さっきの催眠術師もあっちへ行ってたしな!!」
「うんうん!!ウソップ海賊団出動かなァ!!」
子供たちはやっぱりと言うべきか、ドキドキワクワクしていた。
「わかったからどう行きゃいいんだ」
ほら見ろ、ゾロなんてもう既に諦めているぞ。
*
野菜チルドレンに案内され、辿り着いた海岸ではなぜかルフィが不自然な格好でぐーすか寝ていた。
「なんでルフィこんな変な格好で寝てるんですかー?」
「知るか」
ゾロが起きろと言ってルフィの頭を叩くと、ようやく目をさました。
「あれ?なんでお前らがここに……?あれっ?あの執事は?……あれっ?」
執事という単語に眉をあげる。
「執事って、クラハドールですかー?」
「そうそう!ソイツだ!!」
ようやく目覚めたルフィは、今までの経緯を語り始めるのだった。
*
「ーーーーー……っていう訳なんだよ」
語り終えたルフィは一息つき、私は顎に手をやり思案を巡らせる。
野菜チルドレンは慌てだし、やっぱりあの羊悪党だったんだと騒いでいる。うん、羊じゃなくて執事な。
「よかったじゃない、先に情報が入ってさ。逃げれば済むもの、敵もマヌケよね!」
ナミ姉さんがそういえば、野菜チルドレンたちは村の方へ逃げていった。
「やばいっ!!」
突然ルフィは大声をあげる。
「食糧早く買い込まねェと肉屋も逃げちまう!!」
「バカじゃねーの?」
思わずそう呟けば、視線が一気に集中した。ああ、失言だっただろうか。