シュガーでごめんあそばせ

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どひゅんっ!!


目の前を、必死な形相のウソップが凄まじい勢いで走り抜けていった。


『あ!キャプテン!』


ぶわっ、と巻き上がった風に靡く横髪を押さえながら、彼を目で追う。


「なんだ……ルフィは一緒じゃなかったのか……」

「なんかあったんですかねー」

「まだ怒ってんのかしら、お父さんバカにされたこと」


ナミ姉さんの呟きに、ゾロが短く返事を返す。


「違う!今の顔は違う!!」

「うん!!何かあったんだ今、海岸で!!」

「あんなに血相変えてどうしたんだろう!!」


子供達が不思議そうな顔をしながら口々に言うと、ゾロがなにか思い立ったのか海岸の行き方を尋ねる。


「なんかさー、事件のにおいがしないか!?」

「うん、さっきの催眠術師もあっちへ行ってたしな!!」

「うんうん!!ウソップ海賊団出動かなァ!!」


子供たちはやっぱりと言うべきか、ドキドキワクワクしていた。


「わかったからどう行きゃいいんだ」


ほら見ろ、ゾロなんてもう既に諦めているぞ。


*


野菜チルドレンに案内され、辿り着いた海岸ではなぜかルフィが不自然な格好でぐーすか寝ていた。


「なんでルフィこんな変な格好で寝てるんですかー?」

「知るか」


ゾロが起きろと言ってルフィの頭を叩くと、ようやく目をさました。


「あれ?なんでお前らがここに……?あれっ?あの執事は?……あれっ?」


執事という単語に眉をあげる。


「執事って、クラハドールですかー?」

「そうそう!ソイツだ!!」


ようやく目覚めたルフィは、今までの経緯を語り始めるのだった。


*


「ーーーーー……っていう訳なんだよ」


語り終えたルフィは一息つき、私は顎に手をやり思案を巡らせる。


野菜チルドレンは慌てだし、やっぱりあの羊悪党だったんだと騒いでいる。うん、羊じゃなくて執事な。


「よかったじゃない、先に情報が入ってさ。逃げれば済むもの、敵もマヌケよね!」


ナミ姉さんがそういえば、野菜チルドレンたちは村の方へ逃げていった。


「やばいっ!!」


突然ルフィは大声をあげる。


「食糧早く買い込まねェと肉屋も逃げちまう!!」

「バカじゃねーの?」


思わずそう呟けば、視線が一気に集中した。ああ、失言だっただろうか。
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