シュガーでごめんあそばせ

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「ねェ、ルフィどこ行ったの?」


屋敷から離れ、町外れの道端に腰を下ろしていると唐突にナミ姉さんが尋ねてきた。


私は知らないので無言のまま肩を竦め、本のページをめくる。


「さあな。キャプテンを追っかけてったんだろ」


「キャプテンならあそこだ!」

「うん、海岸だ。なんかあるととりあえずあそこに行くんだ!!」


眼鏡少年を抜かした子供二人が答え、行ってみるかと聞いてきたが首を横に振った。


「それよりあんた達一人たりないんじゃない?」

「ああ、たまねぎ!」


何で名前野菜なんだろう。


「あいつすぐどっかに消えちゃうんだよな」

「うん。そして大騒ぎしてあらわれるんだ」


「わああああああ!!!
たいへんだあああああ!!!」


ホントに大騒ぎして現れちゃったよオイ。


「大変だーーーっ!!!
う!!ううう!!」


たまねぎが叫びながら走ってくるのを横目に本を閉じ、顔を上げる。


「うしろ向き男だあーーーーっ!!!」


「誰だー」


思わず遠い目をしながら呟けば、たまねぎは他の二人に詳細を語り始める。


「変な人が後ろ向きで歩いてくるんだよっ!!」

『うそつけ』

「ほんとだよ!!!」

「何それキモー」

「あれ見て!!」


ビシッ、とたまねぎが指差した方を見れば、確かに後ろ向きで歩いている人物がいた。


ツィ、ツィと、まるでかのマイケル・○ャクソンのムーンウォークのように歩いている。


「オイ誰だ、このおれを“変な人”と呼ぶのは!」


マイケルもどきは私たちの前で立ち止まり、ハットを押さえながら不服そうにいう。


「おれは変じゃねェ!!!」


「変よ、どう見ても」

「100人中100人に変な人って呼ばれますよー、確実にー」


ナミ姉さんと私の冷たい眼差しが堪えたのか、落ち込んだように胸を押さえていた。


「……ばかを言え、おれはただの通りすがりの催眠術師だ」

「うわーうっさんくせェー」

「…………!!」


思ったことをそのまま口にすれば、マイケルもどきが落ち込んだ。


「さ……催眠術!?すげぇ!!」

「やってみせてくれよ!!」

「うん、やって!!」


子供達の要求に立ち直り、再びハットを押さえる。


「バカヤロウ、何でおれが見ず知らずのてめェらに初対面で術を披露しなきゃならねェんだ。




いいか、よくこの輪を見るんだ。」

『やるのかよ。』


思わずツッコんだ私は悪くないと思う。


「ワン・ツー・ジャンゴでお前らは眠くなる」


もどきは手にしたリングを三人の前でゆっくりと揺らす。


「いいか、いくぞ………ワーーン」


どうでもいいが何でアイツつま先立ちなんだろうか。


「ツーー……」


三人ともどきの間で、ゆらゆらとリングが揺れる。


「ジャンゴ」


バターン!


すやすやと寝息をたて、地面に寝転がる子供達。その前で、なぜかもどきも一緒に眠っていた。


「おいこいつ何なんだ!!!」


ゾロが怒鳴ったが、全くもってその通りだと思った。
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