サウンドメイカー

□No.03
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クリーム色をしたカーペットの上に、背中を丸め、両手をついて体を支える。


「あぅ」


しばらくの間その姿勢を保っていたものの、自分の体重が支えきれずコロンと後ろへ転がった。


「かわいい〜!!
カナト〜、今の見た〜?
セナちゃんおすわりしたわよ〜!!」


ハートマークを飛ばしながら、ハイテンションでカナトさんの肩を叩くツボミさん。


オイラたちがいるリビング的な部屋へ入ってきたカナトさんは、かなりげっそりした顔をしている。



「……ツボミ、大声は頭に響くからやめてくれ……」


「あら〜、ずいぶんお酒臭いけど、カナトったらまた飲みに行ってきたの〜?」


「契約主が付き合えってうるさかったんだよ……」


「あら〜断らなかったの〜?
困ったパパね〜」


ね〜セナちゃん〜、とオイラを抱き上げ同意を求める。


「だっ……からパパじゃねぇっつぅの!!
セナに余計なこと吹き込むんじゃねぇ!」


「だぁぶ、あぶぶ〜
(訳:カナトさん、真っ赤な顔して否定しても説得力ないよ)」



カナトさんとツボミさんに拾われてからはや1ヶ月……。


オイラは順調に成長していくが、これといった変化もなく、二人の関係は進展しないまま。


とりあえず、オイラたちは平凡な毎日を送っている訳である。


「あら〜じゃあそろそろご飯にしましょうか〜」


ツボミさんはひび割れた壁掛け時計に目をやり、オイラをカナトさんに預け、キッチンの役割を果たしている部屋へ向かう。



「セナァァァァ……!
ツボミって確信犯なのかぁぁ……?」

「だぁ、ぶー
(訳:ドン☆マイ)」


ツボミさんがいなくなったとたん、一気に脱力するカナトさん。

オイラはそんな彼の頭を小さな手でぺちぺち叩く。


「お前だけが味方だセナっ!」


と、目を輝かせてオイラを力一杯抱き締め、頬をすり寄せる。


「あういい……
(訳:苦しい……)」


最初の頃はカナトさん怖そうだな〜、なんて思っていたけれど、案外そうでもないと気付いた。


この人、結構な親(?)馬鹿だった。


いや、ツボミさんもツボミさんで親馬鹿な面があるとは思うが、彼女は至って普通の母親のようなものだ。


が、カナトさんは些か……いや、かなり過保護な気がする。


このカーペットだってカナトさんがわざわざ『外』から買ってきたものだし、オイラの周囲にはゴミ1つないほど整頓されている。



この人、将来本当の子供が反抗期迎えたら大変なことになるんだろうな〜、なんて思いながらご飯を待つ。



「セナ〜、ご飯ができるまでパパと絵本でも読んでような〜」


デレッとした締まりのない顔で絵本を持つカナトさん。


日に日にカナトさんのキャラが壊れていくような気がするんだがこれいかに。
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