サウンドメイカー
□No.02
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さてさて、カッコつけて母さんを見送ったはいいが、これからどう生きていこうか。
中身は大学生だがいかんせん。
今のオイラは生後半年の赤ん坊である。
……どうやって生きていこう。
あれ、おかしいな……なんだか目から汗が……
ここ流星街は来る者拒まず、去る者追わずの場所。
何を捨てても赦される。
そして、ここに捨てられた者は、この世界から『無かったこと』にされる。
つまり、この流星街で死のうが生きようが、ここの住人にとってはどうでもいいことなのである。
……そういえばお母さん、登録してくれただろうか。
この流星街に捨てられたものは、登録すれば流星街の所有物となり、登録されなければ人間でも所有物でもない。
ただのゴミだ。
そういう人物は配給物も貰えない、下手したら奴隷になるだろうし、マフィアに売られるだろうしと、とにかくどうしようもならない。
あれ、そう考えるとお母さん、オイラのこと登録してくれた!?
登録してくれないとオイラ、人身売買の対象になっちゃうんですけどーーー!?
「おぎゃぁあああああ!!
おぎゃぁああああああああ!!!
(訳:戻ってきてぇえええええ!!
戻ってきてマザァァァァァア!!!)」
力の限り泣き叫び、恐らく既に流星街を出てしまったであろう母さんを呼ぶ。
しばらく泣き喚いていると、どうしようもない絶望感が胸の中に広がっていった。
オイラ、ここで死んじゃうのかな……
そんな考えが浮かび、目頭が更に熱くなった。
「う、え……ぇ…」
嗚咽混じりに、涙が零れ落ちる。
オイラは一体、いつからこんなに泣くようになったのだろう。
しっかりしないと、とは分かっているけれど、一度溢れ出した涙は止まることを知らない。
「あら〜
どうしたの〜?」
ぼろぼろと声も漏らさず涙を流していると、頭上からのほほん、とした声が聞こえた。
「あぅ、?」
声のした方へ目を向ければ、黒髪を一つに纏め、若葉色の瞳をした、若い女性が立っていた。
10代後半か20代前半だろうか。
とにかく若々しく、見目麗しい女性が柔和な笑みを浮かべていた。
動く度に黒いチュニックとサイドで纏めた髪が揺れる。
女性はオイラを見ると、たれ目がちな目を不安げに細める。
「あら〜
あなたもしかして、捨てられたの〜?」
のほほーんとした声色で、のんびりと話しかけてくる女性。
「あい、だぁう〜……
(訳:はい、実は……)」
「あらあら〜
そうなの〜」
え、伝わってんの?