シュガーでごめんあそばせ
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檻の上で胡座をかき、目の前に迫るそれを見上げた。
「見つけたぜェ。まずは二人……」
私に顔を近づけるのは、通常よりも大きなサイズのライオンだった。
そしてその上に乗るのは、頭に熊みたいなキグルミをつけた男。
「おれはバギー一味、猛獣使いのモージだ」
ガルル、とライオンが低く唸る。
「フハハハ……仲間に置き去りにされたのか?不憫だなァ、せっかく逃げ出したのに……」
「かわいいですねー、このライオンちゃんー」
ふさふさとした鬣をなで、顎の下をくすぐる。
モージは完全にアウトオブ眼中。
「キミの鬣は立派ですねー。ふさふさー」
もふもふと鬣に顔を埋めれば、ライオンも私の顔にすりよる。何このライオンかわいい。
「り、リッチー!なに打ち解けてんだ!噛み殺せ!」
「その着ぐるみ削ぎ落とすぞー」
「なんだお前、ヘンな着ぐるみかぶって」
「失礼だぞ貴様らァ!!これはおれの髪の毛だ!!!」
『じゃあなおさら変だな』
「やかましいわァ!!!」
堂々と言い放つ彼をバッサリ切り捨てると、さらに憤慨された。
「てめェら……その檻に入ってるわリッチーになつかれてるわで安心してんじゃねェのか?まずおれの怖さを知らんらしい……」
ヒクりと口許を痙攣させながら、モージはシュシュを指差した。
「言っとくがこの世におれに操れない動物はいないんだぜ」
じゃあウチのミケならどうなんだろう、と思ったがあれは例外か。
「例えばそこにいる犬にしてもだ
お手」
ガブッ。
噛まれた。手首噛まれた。
「お前らは所詮名もないコソ泥だ」
『犬は。』
何事もなかったかのような顔でリッチーに乗るモージに二人してツッコんだ。
「貴様らの命に興味はない。
ロロノア・ゾロの居場所を言え」
リッチーが牙を剥いて唸り声をあげる。
「いやだ」
「みーとぅー」
その答えを聞いたモージは、リッチーをけしかける。
「ガルルル!!」
檻の上にのし掛かるリッチーを回避すべく上に飛べば、横から飛んできた前足をモロに食らい民家まで吹っ飛ばされる。
壁を壊し、その拍子に体は崩れてきた瓦礫の中に埋もれた。
「あっちゃー、身動きとれねーや」
上にいくつも瓦礫が落ちてきたせいで、身動きが取りにくくなってしまった。
抜け出せないこともないのだが、これは少し時間がかかりそうだと生き埋めになりながら、私はそっとため息をついた。