2nd

□第一部(4〜6章)
1ページ/17ページ

第一部『第四章』



「ミクア、起きて」
「ミクアはお寝坊さんだなぁ」

体を揺すられて、私は目を開けた。顔と顔がくっつきそうなくらい近くに……真上に、お兄さんのカッコイイ顔と、ティアンのキレイな顔があって、私はビックリした。

「お早う、ミクア」

お兄さんは微笑むと、私の額に口付けた。

「昨日の『作戦』、ちゃんと覚えているかい?」

私は頷いた。ティアンは満足げに笑った。

「ケントのお誕生日まであと五日間。どうなるだろうね?」
「ケントの誕生日までの五日間、オレにとっては幸せな日々だ。――じゃあ、『作戦』通り、オレは下へ行くよ。ミクアは、着替えてから下りて来れば良い」
「分かりました」

私はニッコリ頷いた。
お兄さんは私に笑いかけると、部屋を出て行った。
私は服を選ぼうと、タンスの前に立った。すると、ティアンが飛んで来た。

「服選ぶの? 僕にも見せて」



お兄さんが朝ご飯を作るのを手伝おうと思って、私はスカートの上にエプロンをつけた。
ティアンが首を傾げた。

「それが、ミクアがケントとホルンにお誕生日に買ってもらったエプロン?」
「うん」
「可愛いね。よく似合ってる」

感心したように言われて、私はほっぺを少し赤くした。
ティアンは楽しそうに笑った。

「ミクア、可愛い。ほら、下行きなよ。『作戦』を実行するんだから。僕は約束通り、此処で待ってて、後で尾行するね」

私は大きく頷くと、ドアを開けて、部屋を出た。
一階のキッチンに入ると、お兄さんはもう朝ご飯を作り終わったらしく、いなかった。お手伝い、しようと思ったんだけどな……。
私は苦笑すると、キッチンから隣のリビングへ入った。
ケント様はネクタイを締めていて、お兄さんは椅子に座って私が来るのを待っている。いつもの朝の光景だ。ただし、いつもと違うのは、私とケント様が昨夜喧嘩をしたってこと。それなのに、ケント様はすっかり昨日の事など忘れたらしい。
ケント様は私を見た。

「ミクア、お早う」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ