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□過去ss
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『母の日のプロポーズ』


「母さん、あの…コレ…」
 母の日。綱吉は少し照れくさそうに、赤いカーネーションの花束を渡した。
「まあまあ、ありがとう!とっても嬉しいわ」
 奈々は満面の笑顔を零して、我が子の心遣いを受け取る。
「あ、それから、これは雲雀さんから…」
 リボンの掛かった箱を渡され、奈々は首を傾げた。
「雲雀君から?」
 雲雀は最近、綱吉とお付き合いを始めた一つ上の先輩だ。まだ、母の日にプレゼントを贈られる間柄ではないのだが…
 綱吉の頬が赤い。きっと、赤くなるようなことを言われて渡されたのだろう。奈々には、その言葉が何なのか、想像がついた。
「そう、雲雀君にありがとう、お礼にまたお食事に来て下さいって…それから…」
 クスリと悪戯っぽく笑う。
「私もいずれ雲雀君が息子になってくれるのが楽しみだわって伝えておいてね」
 綱吉の頬の赤さが、顔全体に広がり真っ赤になった。
「なっ…な…」
 自分の母親のこの直感力に、綱吉はボンゴレの血を引くのは母の方なのではと疑った。

「将来、僕の母親になる人へ…」

 プレゼントを渡された時、雲雀に言われた殆どプロポーズと言ってもいい言葉が、いつまでも綱吉の頭の中を駆け廻っていた。

end
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