◇◇

□雲雀家の結婚式
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「…綱吉」
「ううう…」
 耳元で囁かれて、背中がぞくりとした。それは甘い甘い衝動だ。
 まだ戸惑う気持ちもあったが、雲雀の服の裾をギュッと握って綱吉は決意する。

「雲雀さん。お誕生日おめでとうございます!俺を…も、貰ってください!!」

 自分を貰ってなんて、恥ずかしくて死にそうだと思った。心臓がバカみたいに激しく胸を叩いている。
「うん、ありがとう。綱吉」
 それでも、嬉しそうな雲雀に、自分も嬉しくなった。
 羞恥で熱を帯びた唇に柔らかな感触が触れる。とろけそうなキスから、新婚夫婦の甘い初夜は始まるのだった。





 月明かりの下で、白蛇が美しい肢体をゆらゆらとくねらせていた。とてもご機嫌な様子だ。
 この雲雀家の守り神も、初めは例のしきたりを雲雀に守らせる気はなかった。あれはむしろ、女性の後継者を守るために決められていたものだ。しかし、次期当主の彼が連れてきた女の子はとても可愛らしく、早く花嫁姿が見たくなってしまった。だから、ちょっと色々仕掛けてみたのだ。その甲斐があって、今日は良いものが見れた。
 新しく夫婦になったあの二人は、今頃仲良くしているだろう。きっと、すぐに子供も産まれるに違いない。
 とても可愛いだろう二人の子供を夢見ながら、雲雀家の守り神はうっとりと赤い瞳を輝かせた。

end
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