ハガレン2
□光に向かって
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昼食をとっていると、大佐に出会った。
北の話を暗号化し、セリム・ブラッドレイのことを伝えた。
監視をされている今伝えるべきか迷ったが、昨夜の私の異変を大佐が黙って見逃
すはずがない。
ならば、異変の原因を先に伝え、少しでも危ない橋を渡らないようにさせなけれ
ばならない。
大佐にとって不利になることは避けなければならない。
大佐は優しいから、私なんかに気にかけてくれる。
そんな暇があれば、書類の一枚でもこなしてくれればいいのに‥。
午後からも何事もなかった。
逆に言えば、この静けさが不気味だった。
昨日の今日で、だったかもしれない。
あれで脅しが十分だと判断したのかもしれない。
けれど、不気味だった。
なぜセリム・ブラッドレイは正体を現し、あそこまでの脅しをしたのか。
今、脅しの為に正体を現すことが敵方の有利となるとは思えない。
今日のように監視をくぐり抜け、暗号化して正体を伝えることも可能だ。
敵方のリスクが高い。
だから、不気味なのだ。
何を企んでいるのか。
そんな中、今出来るのは大佐の足枷とならないことだろう。
私はそうならない為に、いつまでも畏れているわけにはいかない。
前に進もう。
あの人を守るために。
end.