ハガレン2
□待ち人
1ページ/1ページ
リザは一人で、男が部屋を訪れるのを待っていた。
鏡に映るリザは、白いドレスに身を包み、シルクのベールを被っている。
暫くすると、遠くからこちらに近付いてくる足音が聞こえ始めた。
足音は寸分の狂いもなく、リザがいる部屋の前で止まった。
リザは高鳴る胸を押さえ、男の入室を許可した。
「綺麗だ‥」
男は入るなりそう言うと、咳払いをし気を取り直して言った。
「手を」
「はい」
リザは手を差し出し、微笑んだ。
男はリザの手を握ると、優しく口付けをした。
「‥たいさ」
「名を‥」
予想もしない行動に思わずリザは、男の階級を呼んでしまった。
男は悲しそうに微笑むと、呼び直すよう言った。
「ろ、ロイ」
恥ずかしさに苛まれながら、名を呼ぶと、男は嬉しそうに微笑んだ。
リザはそれが嬉しくて、男の名を呼んで良かったと安堵し、微笑み返した。
「またあとで」
男は名残惜しそうに、キスをすると部屋から出て行った。
「はい」
リザは頬を染め、部屋の外にいる男へ向かって頷いた。
end.
望月 美咲