ハガレン2
□未来予想
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雲ひとつない晴天の日、空に似つかわしくないほどボロボロ姿の人々がいた。
ある者は血を流し、ある者はまともに衣服を見にまとってないものさえいた。
けれど、皆一様に笑顔だった。
「終わったんだよな?」
その中の少年がおもむろに発した言葉に、他の者は頷いた。
エドはボロボロになった赤いマントを羽織り、金の髪を風になびかした。
「皆、無事なのか?」
エドは仲間の顔を見回した。
誰一人欠けずに、少年の前にいた。
敵の策略で、エドと共に戦った者達は全員一つの部屋に集められた。
もはや絶体絶命というところで、シン国に潜んでいたマリア・ロス少尉達が駆けつけることで難を逃れた。
エドは微笑むと、そこで右手に違和感があった。
右手を力強く握ると、爪が食い込む感触がした。
右手を見ると、鋼の手ではなく、生身の自分の手だった。
「兄さん!」
声のした方へ振り向くと、そこには鎧ではなく、生身の弟であるアルがいた。
「僕、元の姿に戻ってるよ!」
「ああ、俺もみたいだ」
アルは何も身に着けていなかった。
エドは着ていたマントをアルに渡すと、アルはマントを羽織った。
「どうして僕ら元の姿にもっどてるんだろう?」
「まさか、あいつが・・・なわけないか・・」
エドの脳裏に浮かんだのは、敵である「お父さま」と呼ばれていた存在だ。
お父さまは、人間たちに未来を託すといって消滅した。
最後、少年に預かっていたものを返すと言っていたが、預かっていたものとは少年たちの体だったようだ。
「兄さん?」
「いや、何でもない。恐らく、お父さまとか呼ばれていたあいつが消滅する際に門が開いて無意識に体を取り返したんだろうよ。あいつが消えた時、爆発して辺りが見えなくなっただろう?その時だよ」
「そうかなぁ」
「そうさ」
アルは今ひとつ納得できなくて、首を傾げていた。
エドはそこで、たれ落ちてくる自分の髪に気が付いた。
いつの間にか髪をまとめていた紐を失くしてしまったらしい。