ハガレン2

□年越し
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ちらほらと降り始める雪に人々は家路を急いだ。

帰ったら、暖をとってある部屋に熱いスープがあることを期待していた。

子供達は窓に張り付き、朝には積もらないかと期待し降り続く雪を眺めた。

町全体が、どこか浮かれていた。


そんな町の様子とは違い、家路に急ぐことも、窓に張り付くこともない場所があった。

それがこの東方司令部だった。


「中尉、まだ終わらないのかね?」
「はい、まだまだ終わりませんよ」

高々と積まれた書類に埋もれ、その中でぐったりとするマスタングがいた。
またそれを横目で見ながら、すました顔で応えるホークアイがいた。

「そうか。‥‥中尉、あと1時間で年が変わるのは知ってるかね?」
「ええ、今年こそ家で過ごしたかったのですが‥‥無理そうですね」
「うっ‥‥すまない」
「いえ、気にしないで下さい。では、これもお願いします」


ホークアイは追加の書類をマスタングに渡すと、確認が必要な書類を取り席に戻った。

マスタングはため息をつくと、口を開いた。


「なぁ、中尉」
「何ですか?」
「どうしてこんな事になったんだろうな?」

ホークアイはマスタングの問い掛けに手を止め、言った。

「そうですね、大佐がスケジュール通りにしていただいていたらこんな事にはなりませんでした」
「いや、それには‥深い理由があってな‥」
「その言い訳は5回聞きました。その5回とも理由される方が違いますけど、今度はどなたですか?」
「‥中尉、まさか怒ってるのかね‥?」
「当然です。書類を隠して、デートに行かれたどなたかのせいで、残業なんですから」


ホークアイは眉を寄せて、マスタングを軽く睨んだ。

「その分、残業手当てを弾んでおくよ」
「当然です。大佐のお蔭で、予定が丸つぶれなんですから」

マスタングはその言葉に驚いた。
まさか予定があったのだとは思いもしなかったからだ。

「あー、すまない。相手にも悪い事をしたね」
「ええ、とても残念がっていました。そう言えば、マスタング大佐に宜しくと言われました」
「はい?」

そこでマスタングの思考は止まった。

中尉もお年頃だし、浮いた話はあってもおかしくない。
背中のことはあるにしても、それをひっくるめて好きになってくれる人がいたら素晴らしいのに越したことない。

しかし、それはマスタングが知らない相手と言うのが前提であり、顔見知りは想定外だ。
けれど、万が一相手がハボックなんかだったら消し炭決定だ。

「中尉、その相手と言うのは私が知ってる人なのかね?」
「はい‥あの、それが何か?」
「いや、何でもない。そうだ、中尉」
「はい?」

マスタングは必死で頭を働かせた。

(私が知っている相手で、中尉が共に年を越そうと思える相手は‥‥)

「無粋な事を聞くが、相手はグラマン中将なのか?」
「いいえ、違います」
「そうか。いや、中将だったら今度会った時に中尉を帰宅させれなかった詫びを
言わなくてはならないからな」
「その心配はご無用です。大佐にしていただく方が事後処理が大変ですので」
「そうか」


マスタングが必死で思考を巡った結果は、見当違いだった。
ちらほらと降り始める雪に人々は家路を急いだ。

帰ったら、暖をとってある部屋に熱いスープがあることを期待していた。

子供達は窓に張り付き、朝には積もらないかと期待し降り続く雪を眺めた。

町全体が、どこか浮かれていた。


そんな町の様子とは違い、家路に急ぐことも、窓に張り付くこともない場所があった。

それがこの東方司令部だった。


「中尉、まだ終わらないのかね?」
「はい、まだまだ終わりませんよ」

高々と積まれた書類に埋もれ、その中でぐったりとするマスタングがいた。
またそれを横目で見ながら、すました顔で応えるホークアイがいた。

「そうか。‥‥中尉、あと1時間で年が変わるのは知ってるかね?」
「ええ、今年こそ家で過ごしたかったのですが‥‥無理そうですね」
「うっ‥‥すまない」
「いえ、気にしないで下さい。では、これもお願いします」


ホークアイは追加の書類をマスタングに渡すと、確認が必要な書類を取り席に戻った。

マスタングはため息をつくと、口を開いた。


「なぁ、中尉」
「何ですか?」
「どうしてこんな事になったんだろうな?」

ホークアイはマスタングの問い掛けに手を止め、言った。

「そうですね、大佐がスケジュール通りにしていただいていたらこんな事にはな
りませんでした」
「いや、それには‥深い理由があってな‥」
「その言い訳は5回聞きました。その5回とも理由される方が違いますけど、今度はどなたですか?」
「‥中尉、まさか怒ってるのかね‥?」
「当然です。書類を隠して、デートに行かれたどなたかのせいで、残業なんですから」


ホークアイは眉を寄せて、マスタングを軽く睨んだ。

「その分、残業手当てを弾んでおくよ」
「当然です。大佐のお蔭で、予定が丸つぶれなんですから」

マスタングはその言葉に驚いた。
まさか予定があったのだとは思いもしなかったからだ。

「あー、すまない。相手にも悪い事をしたね」
「ええ、とても残念がっていました。そう言えば、マスタング大佐に宜しくと言われました」
「はい?」

そこでマスタングの思考は止まった。

中尉もお年頃だし、浮いた話はあってもおかしくない。
背中のことはあるにしても、それをひっくるめて好きになってくれる人がいたら素晴らしいのに越したことない。

しかし、それはマスタングが知らない相手と言うのが前提であり、顔見知りは想定外だ。
けれど、万が一相手がハボックなんかだったら消し炭決定だ。

「中尉、その相手と言うのは私が知ってる人なのかね?」
「はい‥あの、それが何か?」
「いや、何でもない。そうだ、中尉」
「はい?」

マスタングは必死で頭を働かせた。

(私が知っている相手で、中尉が共に年を越そうと思える相手は‥‥)

「無粋な事を聞くが、相手はグラマン中将なのか?」
「いいえ、違います」
「そうか。いや、中将だったら今度会った時に中尉を帰宅させれなかった詫びを
言わなくてはならないからな」
「その心配はご無用です。大佐にしていただく方が事後処理が大変ですので」
「そうか」


マスタングが必死で思考を巡った結果は、見当違いだった。
再び、必死で思考を巡らせた。
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