ハガレン2
□一方通行
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多分、この国で一番高級で、頑丈な仕事部屋にリザはいた。
部屋には、眼帯をつけた中年の男しかいなかった。
「率直に言おう。ホークアイ中尉、君を今日付けで、退役してもらうことにしたよ」
「なっ‥」
突然のことで、リザは困惑した。
リザは人造人間達にとって、マスタングに対する人質のはずだ。
手元に置いておくことで、よりマスタングに牽制となるのではないのか。
何よりも、軍を辞めたら、大切な人を守れなくなる。
「不服そうだね。なぜ人質である自分が辞めさせられるのか」
「はい」
「まぁ、当然の疑問だ。もう君を人質にとる必要が無くなっただけのことだよ」
自由だ、と言う大総統は信じられなかった。
何かの作戦だろうか。
それとも、大佐の身になにか‥。
「大佐に一体何を?」
「そう怖い顔をしないでくれ」
大総統は笑いながら言うが、目は笑っていない。
「必要ないなら、マスタング大佐の副官として、無理ならせめて軍籍を置かせて下さい。私にはまだすべき事があります」
「聞いてなかったのかね?君は退役するだ、これは拒否権などない命令だ」
有無を言わさぬ物言いに、リザは命令に従うしかなかった。