ハガレン2
□生きたい…ただそれだけ
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それは一瞬だった。
撃たねばやられる。
だから、撃った。
死にたくないから‥。
新しい火薬の匂いが鼻についた。
けれど、それはすぐに他の硝煙と混じり合った。
目の前にはついさっきまで「ヒト」だったものがある。
ついさっきまで動いて、リザに襲いかかろうとしていた。
女だから勝てると侮ったのか、他に敵が潜んでいる気配はなかった。
「‥‥ごめんなさい」
リザは呟くと、走り出した。
幸い味方のキャンプまで近く、本日の任務も終わっていた。
走っている最中、一度も振り向かなかった。
追っ手が怖かったのではない。
血溜まりの中から生き返ってくるかもしれないないと言う、自分の発想が恐ろしかったのだ。
「いや‥‥」
戦場に来て4日目だが、未だに人を殺すことには慣れない。
慣れたくない。
けれど、慣れないと生き残れない。
そんな思いがリザの中で葛藤を繰り返していた。
「いや……」
泣き出しそうな声で再び呟くと、遠くで爆発音がした。
また多くの命が失われた。