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□夢幻
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それはある日のこと。
日は暮れはじめ、遠くで烏が鳴いている。
そんな中を、父親に肩車をしてもらっている少年は嬉しそうに笑っていた。
「父ちゃん!」
「どうしたの?」
「何でもないてばよ!」
「変なナルくん」
少年はとても嬉しかった。
大好きな父親に、お気に入りの肩車をされて。
「父ちゃん、カラスもお家に帰ってるのか?」
「うん、カラスもお家に帰ってるんだよ。ナルくんと同じだね」
「うん!」
少年の嬉しそうに笑った。
その時、どこからか少年を呼ぶ声が聞こえた。
「ナルト!ナルト!ナールト!」
少年は辺りを見回すが誰もいない。
やがて少年の視界は歪み始め、真っ暗な闇の中に一人いた。
先ほどまで一緒にいた父親の姿はなく、一人ぼっちだった。
この暗闇から出ようと奮闘するが、全く無意味だった。
だが、やがて一筋の光が差し込んだ。
少年はその光を辿っていった。