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□幸せな日々でカケタモノ
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幸せな日々。
それが完璧ではなくなった時。


「‥国王が行方不明でして…」


あいつが国王になったことよりも、衝撃的だった。
あいつが行方不明だなんて信じられなかった。


「すまないが、存じぬ。しかし、私共に何か出来ることがあれば協力いたしたい



自分なのに、自分ではない人が応える。


「それは心強いです。是非とも…」


声が遠くに聞こえる。

グランパニアからの使いが帰ったあと、俺は一人でボーっと外を眺めていた。

「ヘンリーさん?」
「んっ?」

マリアだった。
ボーっとしている俺を見兼ねたのだろう。
青い空が茜色に変わっている。


「あの方は大丈夫です。貴方の親友なのですから」
「‥マリア…」

マリアはにこりと笑い言った。

「ある日ひょっこりと帰って来られますよ。あの笑顔と一緒に」
「そうだな、俺はあいつを信じる。」

俺はあいつを信じることにした。
不安だったあの気持ちが嘘のように消えていった。

「あの、それと、私、貴方に言わなければならないことが…」
「どうしたんだ?」

マリアの様子がおかしい。
何かあったのだろうか。
「実は、私、妊娠してると‥」


幸せが完璧ではなくなった日に、親友がいなくなった。
同時に、新たな息吹を知った。



幸せだ、そう心から思える日々になるには今少し年月が必要だった。


なぁ、早く帰ってこい。
お前も幸せなことが、俺達にとって幸せな日々なのだから。


END.

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