Other
□夢と現実
1ページ/2ページ
30年という眠りの中で私は沢山の夢を見る。
だから、これも夢なのだろうか?
光りが差込み眩しい。
両手をおもむろに延ばしてみるた。
喉が渇いた。
何か飲むものが欲しい。水なんかじゃない、濃いものが‥。
そう、血が欲しい。
すると誰かに抱き抱えられた。
唇に何かが触れる。
始めは遠慮がちに、だけれどだんだんと強引に何かが口内に侵入する。
私はされるがままに従った。
ぬるりとした生暖かいものが喉を鳴らす。
私は永い眠りから目を覚ました。
一番にハジが映った。
あの愛しい微笑みを浮かべて。
私は嬉しくてつい抱き締めてしまった。
ハジは私をそっと受け入れ、なされるがままだった。
その後ろに皆もあの頃のままで、ちっとも変わらない姿でいた。
ハジやルルゥはともかく、他の皆はそんなわけない。
私たちのように時を穏やかに生きる者とでは、違うのだ。
だから、夢だと判った。
決してありえないのだから。
だけど、夢でもいい。
皆が幸せで笑っているのなら。
私は皆に微笑みかけた。
皆はワラッタ。
あの頃のように。