ハガレン1
□紫苑にのせられ(前編)
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大きな戦いがあった。
突然上空から現れた敵により街は破壊され、私達は闘った。
それで得たものは絶望。
失ったものは多くの希望だった。
それも人々の記憶に薄れ始めた。
あれから5年も経つのだから、仕方ないのかもしれない。
「リザさん!」
リザは名を呼ばれて振り返ると、そこにはウィンリィがいた。
「ウィンリィちゃん!帰ってたのね」
暫くリゼンブールを離れていたウィンリィとは久しぶりに会う。
「はい、さっき帰って来たんですよ。出張先が中央で、それで手紙を預かったんです」
誰からとは言わなかった。
しかし、言わなくても誰からと分かった。
「いつもありがとう」
リザは手紙を受け取ると、すぐに引出しにしまった。
「あ、あともう一通。これと…」
リザはもう一度お礼を言いながら、先ほどと同じ引き出しにしまった。