ハガレン1
□決して忘れない
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「約束を果たした。この国は、生まれ変わった」
二人の墓前にそう告げて回ると、名が刻まれていない墓前に着た。
「私はもう充分やっただろう?」
名もない墓は答えなかった。
私は銃を取り出すと、安全装置を外した。
銃は彼女が愛用していたものだ。
彼女がいなくなってからは、私が手入れしていた。
しかし、それももう終わりだ。
銃口を頭に当てると、この世に最後の別れを告げた。
告げたはずだった。
銃に弾丸がなかったのだ。
昨夜、入れたはずなのに‥。
「相変わらず間抜けだな」
低い男の声が響きわたる。
「鋼の、か」