ハガレン1
□新年早々
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「どこだ?」
「それが、司令部の前です。男が二人で、一人は狩猟の銃を持って、威嚇。もう
一人は女性を人質にして、女性の首元にサバイバルナイフを当ててます」
「要求は?」
「中佐を出せと騒いでます。何でも中佐に女を取られた怨みだとかで」
「女々しい男だな。だが、司令部の前で私を呼び付けるとはいい度胸だ」
にやりと笑ながら少尉を見ると、無表情だった。
「少佐、補佐はハボック准尉でよろしいですね?」
心なしか冷たい態度だ。
「いや、ハボっ…」
「いいですね?」
拒否権など私にはない。
そう言うばかりの迫力の少尉に、私は思わず頷いてしまった。
「ハボック准尉お願いね」
ハボックも素直に了承する。
男二人を気圧す、彼女のこの雰囲気はなんだろうか。
「私は残って、その他の緊急事態に備えます」
「ああ、頼むよ」
少尉は早く行けとばかりに、私達を部屋から追い出した。
部屋の戸を締められ、ハボックと顔を見合わせた。
「今年も前途多難みたいスね」
「だな‥」
私の心を知ってか、知らずかハボックはため息交じりに言った。
「行くぞ」
「へい」
ハボックを連れ、私は仕方なく現場に向かった。
今年もどうやら昨年同様、波瀾万丈な一年となりそうだ。
End.