But I still love you.
□5.呼び方
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─宙side─
日番谷隊長は私の隣で書類をやりはじめる。
なんていうか、距離が近い。
伏せられた大きな目。長い睫毛。
そしてきれいな銀髪。触れれば溶けてしまいそうな、そんな感じ。
こんな整った顔がすぐ隣にあったら集中できない。
「……月見里の瞳の色ってキレイだよな」
ふいにそんな言葉を投げ掛けられドキッとした。
「日番谷隊長の瞳だってキレイじゃん。髪の色と凄くあってる」
私がそう言うと日番谷隊長は目を細めて笑った。
「サンキュ」
ふと、日番谷隊長が持ってきた書類が目に入った。
そこには小難しい事と日番谷隊長のサイン。
「日番谷隊長の名前って冬獅郎って言うんだ」
今まで苗字しか知らなかったから新たな発見だ。
日番谷隊長は目を丸くして溜め息をつく。
しかも盛大に。
「……知らなかったのか?」
私はうなずく。日番谷隊長は手で顔を覆った。
そんなに落ち込むことなのだろうか。
まぁ、今まで知らなかった私も私だけど。
「月見里の名前って宙だったよな」
日番谷隊長にそう聞かれうなずく。日番谷隊長は何か閃いたのか手をはずした。
「これから宙って呼ばせてもらうぜ」
日番谷隊長は悪戯っぽく笑い私の頭に手をおいた。
「私も冬獅郎って呼ぶよ」
そう言うと冬獅郎は嬉しそうに目を細めた。
冬獅郎との距離が縮まったような気がした。