But I still love you.
□9.逃げた先
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─宙side─
私は瞬歩で逃げた。
どこに行くかは決まってない。
ただ、遠く。遠くに逃げたかった。
体が凄く怠くて、仕方なく走って逃げることにした。
「ちょっと!」
呼び止められ反射的に止まる。
私を呼び止めたのは人間の女の子だった。
黒い髪の気の強そうな女の子。その隣には薄い茶色の髪の女の子。
何で私の姿が見えてんの?
「夏梨ちゃん。誰に話してるの?」
茶色の髪の女の子にはやはり見えていないらしい。
こいつ、霊力が結構あるから見えてんのか…。
「何?」
私は鋭く言う。それに怯まず夏梨ちゃんと呼ばれた子は続けた。
「一兄の知り合いなの?」
一兄?私は思考を巡らせるがそんな知り合い一人もいない。
私は首を降った。
「私に会ったことは誰にも言わないで」
そう言って走り出そうとすると手を捕まれた。
「ケガしてんだろ!」
夏梨は怒鳴る。回りの通行人はクスクスと笑っていた。
「私んち、病院なんだ。だから手当てしてあげる」
何を言っても離してくれなさそうなので渋々病院とやらに向かった。