But I still love you.
□1.俺らの出会い
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─日番谷side─
春の麗らかな午後。気持ち良い風が俺の頬を撫でた。
今日は仕事も終わりのんびりと過ごしていた。特にやることはない。
そこに地獄蝶が緊急隊首会を開くと告げた。
めんどくさいが行かないとな……。重い腰をあげて一番隊隊舎に向かった。
「これより緊急隊首会を始める」
総隊長の威厳ある声で隊首会が始まった。その時、大きな扉が開かれた。
「あ、もしかして始まっちゃってた?」
場の雰囲気にそぐわない軽い話し方に俺は眉をピクリと動かす。
砕蜂は霊圧をあげて威嚇していた。しかしそんな事に怯まずに俺らの間を通っていく。
そいつは俺よりも小さかった。けど霊圧は隊長格に匹敵する。何なんだこいつは。
「初めまして!月見里宙です。月見里って書いてヤマナシって読みます」
ニコニコと笑いながら自己紹介をした。
何なんだこいつ?皆頭の上にはてなマークが浮かんでいる。
「あ、ちなみに五番隊隊長です」
月見里はさらりと凄いことを言う。辺りはざわめいた。
藍染が裏切った今、一刻もはやく隊長を就かせるのは分かるがこんなガキに何ができる。
「中央四十六室の決定じゃ。異論は認めぬ」
隊首会はお開きとなり皆解散した。
「ねぇねぇ。日番谷隊長」
俺を後ろから呼び止めたのは月見里。相変わらずニコニコとしている。
「……なんだ」
俺は月見里を鋭く睨む。俺はまだ信用していない。
月見里もそれを分かっているのか一定の距離を保った。
「多分同い年だし仲良くしてね」
月見里の笑顔は年相応の笑顔だった。俺とは違う。なに不自由なく暮らしていたのだろう。
「あぁ……」
俺は適当に返事をして歩き出す。
「私、殺されるために隊長になったの」
月見里の言葉に思わず足を止めた。殺されるって。は?
混乱して訳が分からなくなってきた。
「多分だけど」
月見里は悪戯っぽく笑うと走り去った。
今のは一体何だったのだろうか……。