気になるアイツ
□2話『邪教の街』
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*アキラside*
リオールはとても賑わいを見せていた。
「ね、ここに賢者の石があんの?」
私は二人に聞く。すると鎧クンが答えてくれた。
「何でも奇跡の業を使う教主様がいるんだって」
私はそこまできいて大体わかった。
「等価交換を無視してるって訳?」
私が言うと鎧クンは「正解」と言った。多分今は笑ったんだと思う。
「まぁその教主サマから情報を聞き出せりゃいンだが」
鋼のクンの目は穏便に済まそうという感じではなかった。私たちは苦笑いをする。
一軒の店が見えた。カウンターの席にはちらほらと人がいる。
「あそこで休憩しない?」
私がそう言うと2人とも賛同してくれた。
私はオレンジジュースを頼む。鋼のクンはコーラを頼んだ。
「あんたら旅の人かい?」
店の男の人に話しかけられる。
「まぁね〜」
私は飲みながら言う。すると頭上のラジオから変な放送が流れ出した。
「趣味わりぃな」
鋼のクンは顔をしかめながら言う。確かにそうだけどもそれは言っちゃいけないだろ。
「これはコーネロ様の放送なのよ」
後ろを振り返ると女の子が立っていた。鎧クンは女の子に驚いて立ち上がる。
すると頭を上にぶつけラジオが落ちた。
「なにやってんだよ!」
店の男の人に怒鳴られる。鎧クンは必死に謝っていた。
「アル、直せばいいだろ」
鋼のクンの言葉に鎧クンは納得する。
鎧クンは地面に錬成陣を書いてラジオを元通りになおした。
「き、奇跡の業だ!」
辺りは騒然となる。
これが奇跡の業?
「いや、錬金術デショ」
私がそう言っても皆聞いたことがないらしく首をかしげた。
「あ、コーネロ様の奇跡の業をもうすぐ見られるわよ」
先程の女の子が教えてくれた。どうやら場所まで案内してくれるらしい。
「私はロゼ。宜しくね」
ロゼと名乗った女の子はやわらかく微笑む。私たちも一通り自己紹介をした。
ロゼが目の前の人だかりを指す。どうやらあれの一番前にいるのがコーネロらしい。
コーネロは死んだ鳥を生き返らせた。
「やっぱり黒だな」
鋼のクンがニヤリと笑う。その顔は悪人の顔だった。
「ね、ロゼ。コーネロサマに会うことってできる?」