ポケモン冒険小説
□間走曲
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にやにやと笑う6人の男は、カルミアたちを取り囲み、間を詰めてくる。一人一人がチェーンなり鉄パイプなり、暴力的な武器を持っている。対してカルミアは武道の経験など無いし、このようなチンピラというものを間近で初めて見たのだ。相手の迫力に気圧されてしまう。それはツルギも同じようで、たじたじと言ったところだ。
「ね〜え、君さ、何て名前なの?」
「髪とか目とかきれ〜だね〜。俺たちと遊ぼうよ」
「怯えてんじゃんかよ!ごめんな〜恐がらせて〜。お詫びに楽しい事してやるぜ?」
彼らの言葉は全てカルミアに向けられている。カラフルに染め上げられた髪の毛の主たちは下品な声で笑った。
「まったく…品のない連中だな。女の子を口説くにはもっと甘い言葉が必要だろう?」
「僕も同感。ってゆうか、お兄さんたちトレーナーでしょ?こういう時はさ〜…」
カルミアも二人の挑発に便乗した。
「私、あなた達みたいな人はタイプじゃないんで!ミカゲさんよりバトル強かったら考え直すかもですよ?」
赤に急に名指しされた紫は何も言わずに、黒い手袋をはめていた。何度か手を握ったり開いたりしている。
「何お前ら?」
「うっぜマジうっぜぇ!」
「ミカゲさんって誰よ?」
「このガキじゃね?」
「うわ小っさ!」
「俺ロリコンじゃねぇから」
六人六様の言葉にミカゲの眉間に皺が寄った。隣にいるゲンガーと目を合わせ、下から見上げるヨーギラスに向かって頷いた。モンスターボールに入っているイーブイだけが怯えていた。
ツルギは手持ちポケモン全てを出し、やる気満々だ。
ヤドンを抱く力を強めたカルミア。彼女もツルギ同様、戦闘態勢に入っている。
「お前たちのその汚れきった心を、いつかスイクンが浄化してくれると良いがな」
ミナキの声が合図だった。チンピラ六人もポケモンをごつごつデコレーションの凝ったモンスターボールから、チンピラが持っていそうなポケモンたちを出した。
総じて言うと、ゴルバット、マタドガス、ドンカラス、ゴースト、ニドキングにサイドンである。
他のポケモンはそうでもないが、ニドキングとサイドンはゲンガーの出す強者の威圧にほんの少し近いものを出していた。
「俺ら結構強いんでぇ、よろしくお願いしゃっす!」
若者たちのリーダーらしき金髪の男が叫んだ。
ミナキはスリーパーに催眠術を指示し、ツルギがシビシラスとダイケンキを中心にバトルを展開する。カルミアはトリプルバトルではないにも関わらず、その要領で攻撃を始めた。ミカゲに至っては動く気配すらない。
バラバラのコンビネーションが行きかうバトルの中に、チンピラたちが飛び込んできた。そのうちの一人が振りまわしていた太くて長いチェーンをツルギに投げつけた。体に重いものがぶつかった衝撃と、チェーンが自分の体に絡まったせいで派手に転んだ。その姿を見て笑いが巻き起こる。