学校の怪談(無修正版)

□第五章:幻惑の魔鏡
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正直な鏡と嘘吐きな鏡
本物は嘘吐きな鏡
嘘をつかない鏡など無い

5章:幻惑の魔鏡 〜うつしみ〜 01

 鏡を見つめ、少年は深刻な顔をしていた。長い髪に隠れて見えないところにだが、ニキビができた。彼の自慢はツヤツヤの長い髪と、そして誰と比べても劣ることの無い美貌(自己満足)である。その顔にニキビなどあってはならない。今まで必死にケアしてきた肌を、そう簡単に蝕まれるわけにはいかないのだ。こんな小さなニキビ一つに…。
 その小さな邪魔者をそっと髪で隠し、少年はもう一度しっかり鏡を見た。誰もこの髪を避けて見ようなどとは思わないだろう。これでなんとか隠しきれる。しっかりと鏡に映し出された“完璧”な自分を見ると、やっと安心したのか、少年は教室へと戻って行った。

「滝、どこいってたんだ?」
「ちょっとトイレに」
「服できたからサイズだけ合わせてからかえってね。」

俺ちょっと用事できちゃったから帰らないといけないんだ。
と大石くんが言った。
さっきの話しでわかるようにもうすぐ学校の文化祭なのだ。橘たちの学年(1年)は劇をやることになった。劇と言ってもここは男子校何をやるのも不公平がないようにすべてクジ決める。

数日前

「えー今年の文化祭1年はクジの結果白雪姫の劇をやることになりました。」(手塚)
「今から役を決めるクジをします。好きなところに名前を書いてください。」(柳生)

2人に言われた後教室中が少し騒がしくなる、全員にクジを弾き終わった。

「全員引き終わりましたね、では発表します。」

と柳生が役を発表していった、あとは王子と姫の2人の名前を呼ぶだけだった。

「えっと王子が…橘くん」
「すげぇ橘王子だって。」
「姫が……東方くん(?)」

「「え…!?」」
「…こういう結果になったみんな油断せずいこう」

東方と橘が放心している、だがルールはルールでどうしようもない。
2人も泣く泣く了解した。

「がんばれよ橘!」
「がんばりたくねぇよ…」
「確かに…」
「…ι」

回想終了

あのあと橘と東方は少しの間立ち直れなかったらしい。

「まぁ無理もない気がするけど…」

くすっと笑ったあと南くんと大石くんが作ってくれた自分が着る服(魔女)
なんでこんなに細かく作れるのか不思議だがそれも個人の特技だろうと思い服を着てみる

「うん、ぴったり!着心地もいいしやっぱすごいなあの二人は」

来た後鏡の前に立ってみた。

「これなら大丈夫だよね」

と滝は鏡に向かって自分のセリフを言ってみた…そのとき鏡から光がでる
滝は虚ろな目になり鏡に近寄りそのまま吸い込まれてしまった。

次の日

「今日滝くん来てる?」

昨日服を合わせてから帰ってねと言って分かれたので朝早く来て服の確認をしていた大石が南に質問する。

「さぁ?わかんないけどどうかしたの」
「実は昨日できた滝くんの服だけないんだよね」

と大石が言った後南も一緒に確認をしてみた。

「本当だないね…もって帰ったのかな?」
「そうなのかなー…あれ?」

どうかしたのと訪ねたあと大石が南にあるモノを見せた。

「これって滝くんの制服じゃない?」
「ホントだ」

それは鏡の近くにきちんと畳まれていてネクタイの裏にH・Tのイニシャルが刺繍されていた(この学校のネクタイの裏には自分のイニシャルを刺繍している)

「なんで制服が…」
「もしかしたら服を着ている途中で電話か何か掛かってきて急いで帰ったんじゃないのかな?」
「あーなるほど」

そんな話しをしている間にもうすぐチャイムがなるという時間になっていた。

「あっもうこんな時間だ、早く戻らないとね」
「そうだね…ん?」
「どうかしたのか南」
「いや何か視線を感じたような気がして…気のせいだね

と言って大石の隣まで走った。
でも心の中では何か引っかかっていた、確かに視線は感じたのだ。
あの鏡から…

「南おはよう」
「おはよう橘、赤澤、東方」
「ちーっす。」
「…まだ滝来てないんだ」
「そうみたいだけど、何かあったの?」
「ううん何でもないよ。」

南は席に着いた、その日滝の姿を見た人はだれもいなかった。

放課後

「橘〜!」
「どうしたんだ南、俺に何か用か?」
「うん、この服サイズ合わせてほしいんだけど」

と橘にできあがったばかりの服を渡す。

「…すごいな、何でこんなきれいに服が作れるんだ…」(橘)
「え、ふつうに縫っただけだよねぇ?」(大石)
「うん」(南)
「へぇ〜…」(橘)
「そういえば滝くんどうしたんだろうね」(幸村)
「そうだね…そういえば今日一回も合ってないよね」
「何かあったのか?」

俺たちが話しをしていたとき柳が話しかけてきた。

「今日滝くんと一回も会ってないねって話ししてたんだ」
「そうなのか、じゃ俺は先帰るな。また明日」

弦一朗を待たせているんだと言い柳は去っていった

「合ってないか…ん?」

柳が階段を降りていると鏡があった。

「気のせいか…」

柳はそういうと鏡から離れた
気のせいではない柳は知っていたというより見えていた。
あの鏡の中に助けを求める滝の姿を…
助けようと思えば助けられるだが自分たちの任務を果たすために役に立つかもしれないと思い気づいていないフリをしたのだ。

「もう少し様子を見させてもらうぞ…」

柳は小さい声でそう言い真田をもとへ歩いていった。
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