いろいろ

□モノクロだった世界に色をいれてくれたのは貴方でした
1ページ/1ページ











外は今日も寒く
この辺にしては珍しく
はらはらと舞い落ちるは
白い結晶

…まるで
俺のどす黒い感情を隠そうとするかのように…





地下は余計に寒く…

思い出すのは昼御飯時の会話

付き合いが長いもん、
そりゃ、リヴァイさんの誕生日を知っていたとこで、なんのあれもないのだが…

…問題は、俺は知らなかったし、リヴァイさんに教えて貰ってないし
ましてや、今日で
現在、当の本人は本部に呼ばれていて不在と言う
なんとも最悪な状況

最悪なのは…
この関係か……

なく崩しに抱かれ
『好き』とも、なにもなく
ただ、上官の性欲処理をしている部下の関係

…好きでもないひとを
あの潔癖な人が触るとは考えにくいのだが…
普段が普段だけに
余計判らない

『好き』だの
『愛してる』だの

…俺には判らない

そりゃ、訓令兵時代に
そんな話を同期達はたしかにしていた…が…

本当に解らないんだ

ずっと…
母さんが巨人に食われたあの日から
巨人を駆逐することしか頭になく…

…巨人を憎んでいたのに

俺が巨人だなんて…

…本来、俺が巨人に向けている憎悪が
俺と言う名の巨人に向けている

あぁ…俺は……
バケモノなのか……

自分では納得しているつもりだ


ただ…回りの目は変わらない

…疲れた

だんだん…だんだん
『俺は要らない』
って…生きてちゃいけないって

独り、暗い
ジメジメした
地下室で考えてたら…

どんどん世界の色が無くなっていった

そんな中、
リヴァイ兵長率いる
通称リヴァイ班の皆さんや
団長、ハンジさんにミケさん

俺を人間として
調査兵団に入団させてくれて

…人として扱ってくれる

とても暖かい

…そう気付かせてくれたのはリヴァイさんだった

始めての実験の日
休憩にて半巨人化

あの時
リヴァイさんだけが
俺に背を向けた

武器も持たず
みんなから庇うように

その時、
どれだけ救われたか

嬉しかった

俺はこの人の為に…

そう思っていた
いいや。いる、だな

その夜
ノックも無しに
軽装のまま地下室に来たリヴァイさん

訳が判らないうち
抱かれ…

そのまま朝には部屋に戻っていった

その日から
このよく判らない関係が続いている

リヴァイさんに触られる事は
嫌だとも思わないし
むしろ、求められているのが
嬉しかった
ただ、どう言う事なのかは聴いた事は無いが、
徐々に、俺の中には
確かに『好き』と、言う感情が生まれた

戸惑いもしたが
これがしっくりくるもので
ただ、伝えることは出来ない

それでも
これで十分幸せだ

だが、好きな人の誕生日だと聞いて
なにかしたいと思うのは
当たり前なんじゃないだろうか……

ただ、いつ戻るか分かりませんうえに、もう夜だ

しかたない…

明日、もしお会いできたら一番にお祝いの言葉を送ろう

ただの自己満足だとしても…

そう、納得し
寝るために、意識を手離さそうとしたとこで、地下室へ続く扉を開く音と靴の音

まさかっ

だが、この地下室に来るのは
一人しか思い当たらない

「…エレン、?」

そっと聴こえた声は
先程まで考えていた人物
リヴァイ兵長のもので

「はい。」
と、言うと、驚いたのか
息を飲む音がした

この人にとっては珍しい反応だったが、生憎、ランプの光を消してしまっていたので、顔を見ることは叶わなかったが、兵長がすぐ近くまで来たのは、気配で分かった


「まだ起きていたのか」
「あっ、いえ…」
「…起こしたのか?」
そっとベッドに腰掛け
起き上がった俺の頬に優しく触れた
それがなんだかくすぐったくて
恥ずかしくて
さっきまで考えていた事がきれいに吹き飛んでしまった
「エレン…」
どうして、そんな声で呼ぶんですか?
切なくて
胸が締め付けられます

「へい、ちょ…なにか…んっン!!」
「少し黙っていろ」
急にされた口付けは
久しぶりなせいもあって
チカラが抜ける

ふわっと香る
兵長の香り

「…落ち着く」

へ?
今、声に出したのか俺っ!!

「エレン…」
兵長…
俺で落ち着くって

ほんと勘違いしちゃうじゃないですか…

「なんで泣いてんだ?」
「え?」
そっと目から流れ落ちる雫を拭われる
な、んで…?

いや、わかる…
へいちょーが余りにも優しいから…

「す、すみませんっ!俺っ、兵長の優しさにっ!好きですっ!」

ハッ!としたが、時すでに遅し
言うつもりもなかった言葉を

あぁ、めんどくさいやつだと
もう、こんな優しくしてもらえない…
「は?知ってる。今更だろ」
「へ?」
目が点になるとはこの事か
「付き合っていると思っていたのは、まさか、俺だけだったのか?」
抱いた時点で、合意だと思っていたんだが、なんて
い、意味がわかりません
きょとん、としていると
どんどんつり上がる眉毛
やっべ、躾されるっ!
目を瞑ったが、次に来た衝撃はリヴァイさんのあた、たかいから、だ…?
なんっ?
「チッ。伝えなかった俺も俺か…エレン、俺は、自分の好きなやつにしか触らねぇ」

自分の好きなやつにしか触らねぇ…
つまり…
「へ、いちょ……」
「あぁ、分かったから泣くな。…まぁ、躾が足りねぇみたいだから、これから鳴かすがな」

「なっ!」
真っ赤になる、兵長の瞳に映る俺、
交わされる口付け
俺、本当にっ

幸せすぎてっ!

あっ!

「へいちょー…」
「ん?」
もう、着ていた服が、半分以上に脱がされていて、恥ずかしかったが、これだけは伝えなきゃ

「へいちょーが大好きですっ

お誕生日、おめでとうございますっ!」

その時の
リヴァイさんの嬉しそうに細められた目と

「あぁ。」
と、言った、柔らかな返事は

一生忘れないだろう









[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ