SLAM DUNK

□素直になりたい
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一瞬の冷たい空気とその後の気持ちの良い温かさに目が覚める。

宮城が俺を抱きしめるのに動いたら、布団の隙間に空気が入ってきたようだ。

「…ん……」
「あ、三井サン」

まだ意識がハッキリしない中、宮城の声だけがクリアに上から降ってくる。

「み…や、ぎ…?」
「ゴメンね?起こしちゃった?」

朝の眩しい日差しが照りつけてきて、目を開くのが辛い。

早く宮城の顔が見たいのに。

「ちょっ…三井サンっ!?」

宮城の顔が見たくても目が開かない。
そんなもどかしさに、俺は宮城の胸に顔を擦り付けた。

「…み…やぎ…」
「三井サン…猫みたいだよ?」
「……ん」

俺が宮城の背中に腕を回すと、宮城の穏やかな笑い声と温かい抱きしめが返ってくる。
宮城の腕の力がちょうどいい。

声が上手く出ない俺は、言葉の代わりに宮城の服をギュっと掴んだ。

「……三井サン可愛すぎ…」

額にちゅっというリップ音と共に、宮城の唇が降ってくる。

それが合図だったかのように、俺が目を開くと、自然と宮城の愛しそうな視線が俺の視線と絡んだ。

「三井サン……」

そのまま宮城は俺の頭を撫で、髪の毛に顔を埋めた。

「宮城…くすぐってぇ…」
「うん…」

返事は返ってくるものの、止める気はないようだ。

もう一度目が合い、今度は目の上にキスを落とされた。

また目が合う。
宮城の抱きしめる力が強くなる。
俺もそれに応えるように抱きしめ返す。

雰囲気から次にすることが分かる。

「ははっ!三井サン真っ赤!」
「うるせぇな!するならしろよ!」
「そんな焦らなくてもしてあげるから」
「別に焦ってねぇよ!」

宮城はクツクツと笑った後、愛しそうに微笑み、キスをしてきた。

「ん……」

何度も、角度を変えてキス。

「三井サン…」
「…っ?」

キスの合間に話しかけてくる。

「…大好き」
「……っ」

そして長いキス。

永久に続けばいいと思うくらいの幸せな時間。

でも、暫くして宮城の唇は離れていく。

俺の息が続かないからだ。

自分の為だとわかっていても、離れたくない。

もっとキスしていたい。


…いつもは恥ずかしいとかプライドが邪魔して言えないけど、今なら言える気がする。

後で寝起きだったから覚えてねぇって言い訳をしよう。

俺だって本当は宮城といろいろしたいから…今日だけ特別だ。


俺は宮城の顔を両手で包んでキスをした。

そして、宮城の耳元で、

「大好き」

って言ってやった。

「なっ…三井サンっ……!!」

宮城は顔を真っ赤にして、でもすげぇ嬉しそうに俺の名前を呼ぶ。

「……んだよ」
「もう一回っ…!!!」

はっ!?言うわけねぇだろバカ!!
俺はあれでいっぱいいっぱいだったんだ!!

と内心焦ったけど、頑張って平静を装った。

「何をだよ」
「へ!?」
「俺、何か言ったか?」

待って下さいよ!三井サン!とか、後ろで騒ぐ宮城を置いてベッドから起き上がり、部屋を出る。

扉を閉めて寄りかかり、そのまま座り込んだ。

顔が熱い。

きっと真っ赤なんだろう。

どうして宮城はあんな風に、好きって言ったり、キスしたりできるんだろう。

恥ずかしくないんだろうか。

俺だって宮城が好きなのに、どうしても素直になれないんだ。

でも、宮城はこんな俺でも好きだって言ってくれるから。

俺、ゆっくりでも好きって言えるようになるからさ。


それまで待っててくれよな。



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