SLAM DUNK

□蕾
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ガキ共と別れた後の、ちょっと遅めの登校時間。
急いでも急がなくても遅刻していることに変わりはない。
無論、二人に急ぐ気はない。

「もう2限終わんじゃね?」
「学校着く頃には4限始まってるんじゃねぇスか?」
「マジかよ!…って言っても急がねぇけどな」

なんて会話をしながら駅までの道を二人で歩く。


駅の改札口に着き切符を買う。

「あ?俺小銭ねぇわ」
「マジで?じゃあ俺まとめて買うから、後でジュースおごって下さいよ?」
「サンキュ。わかった」

宮城は、三井サンもお礼とか言えるんスねー、とか言いながらも大人が二人が載っているボタンを押した。

正直、ムカついたけど…良い奴だなって思う。
けど、そんなこと言ったら調子に乗りやがるのがわかってるから言ってなんかやらねぇ。

宮城のことを良い奴だなんて思ったことが癪に触った三井は代わりに悪態をついてやる。

「お前、子供料金でもバレないんじゃね?」

そう言ってオレンジに光っていた大人二人だったボタンを、大人一人と子供一人のボタンに変えた。

「何やってんスか!!バレますよ!!!」
「…その身長で?」
「間を開けんな!!168pの小学生なんてなかなかいねぇよ!!」
「今の時代、たくさんいるんじゃね?」

その言葉に宮城は一瞬、嘘だろっ!?って顔をして、

「……ふざけんなよ!!小学生!!!」

と叫んだ。

表情がコロコロ変わる宮城が面白くて、思わず吹き出してしまった。

「…ははっ!!」
「何笑ってんスかっ!!」
「いや?なんでもねぇ」

宮城は、もういいですよ!!と、フイッと顔を背け、そのまま切符を買い始めた。

身長のことになると必ずムキになる宮城を見て、自然と顔が綻んだ。

きっとムスッとした顔してんだろうな。

宮城の表情なら簡単に想像できる。

そして切符を買い終わった宮城がこちらに振り向いて、

「ん。」

と切符差し出してきた。

思った通りムスッとした顔で。

また顔が綻んだ。

「ほら!何ニヤニヤしてんだよ!」

宮城は俺に切符を押し付けて改札口へ行ってしまった。

後ろ姿で怒っているのがわかる。

そんなんでPG大丈夫かよ、ってくらい分かりやすい。

なんて思っていると宮城が急に立ち止まった。
そしてこちらを振り返った。

「……置いてきますよ!!」

宮城って怒ってても、ほっとけない性格なんだよな。


……可愛いやつ


「今行くっつーの!」

三井も改札口を通る。

そしてまた並んで歩いた。


駅のホームに着いても、宮城は相変わらずの調子だ。

「まだ怒ってんのかよ?」
「…別に」

いや明らかに怒ってんじゃねぇか、と思ったが言わない。

どうせ言い返したら、すぐムキになるからな。

「なー宮城?」
「……なんすか」

態度が気に入らなかったので、キレイにセットされている髪型をグシャグシャにしつやった。



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