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□二日酔いの朝
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「あー...」


ガンガン、ズキズキ、思いつく限りの打撃系の擬音が頭の中を埋め尽くし、胃の辺りがグルグルと気持ちが悪いとっても憂鬱な朝。
目を覚ました布団から起き上がれずに枕に顔を埋めてしまう。
寝て居たいのに猛烈に襲ってくる吐き気、...ほんっとに最悪。


「水、水が飲みたい...」


頑張って布団から起き上がろうとした矢先に隣から聞こえる安らかな寝息に耳を傾ける。


「あはー...俺様まだ酔っ払ってんのかなー...」


ゆっくりと目線を向ければ隣ですやすやと眠る可愛い娘ちゃん。
そいつはまさしく昨日、次々に酒瓶を空にし続けてもケロッとして俺様を潰した張本人。
...やばい。これは大いにまずいぞ。


「ってか‼...痛っっ」


よく見たら俺様の部屋じゃないし‼と叫ぼうとして自分の大声で頭痛を悪化させてしまった。
いやー...もうね、ほんっとに最悪な朝だ。
とりあえず確認の為に布団の中を覗けば、まぁ、予想通り、何も着てないよね。...お互いに。


「やっちまったー...」


なんて勿体無いことをしてしまったんだろうか。
前から狙っていた娘に潰されて、記憶をなくしてる間に美味しく頂いてしまうなんて。


『う、ん...』


俺様が過去最大級の後悔をしていると隣の可愛い娘ちゃんは、枕と勘違いしているのか何なのか、俺様の腰に手を伸ばしスリスリとすり寄ってくる。
え、もう何なの?
可愛いすぎるんですけど‼


「無理矢理だったのかなー...嫌われるのは慣れてるけど、君に嫌われたら流石にへこむわー」


すり寄ってきた彼女の頭にそっと触れれば、柔らかい髪質。
...やばい。凄く良い匂いする。
むくむくと膨れ上がる邪な気持ち。


「.........」


どうせ嫌われるなら、もう一回くらい良いよね?
そーっと顔を近付けていくと突然彼女の瞳がパチリと開いた。
やべっ‼
思うよりも早く彼女は至近距離で俺様を見つめる。
やっぱり可愛いなー


『あれ?あたし...?佐助...?』


パチクリと何度も瞬きを繰り返す。
段々と眉間に皺がより始める。
やばい、やばい‼これはほんっとにますまいよ‼


「お、おはよー...」


『さーすーけー...』


地を這うような声色に冷や汗が止まらない。
この人こんなに可愛いのに、伝説の忍に並ぶくらいに強いんですよ。
あー...さよなら‼俺様の青春‼


「お、怒ってるよね...?」


一応、万が一の為に聞いてみればにっこりと笑い頷く。
あー...凄く怒ってるー‼


「いやー...なんて言うか、そのー...」


視線を泳がせ一生懸命言い訳を探していると彼女の手が伸びてきた。
やられる‼
そう思って目をぎゅっと固く閉じると唇に柔らかい感触。
え...?
驚いて目を開くともう片方の手で視界を塞がれ、啄む様に何度も柔らかい感触。
驚いて固まっていると視界が開けて、目の前に彼女のにやりと笑う顔。



「えっ?...えーっ⁉」


『五月蝿い。馬鹿』


「いだっ‼」


驚きすぎて叫べば、ごちんと頭を叩かれた。


『昨晩は盛り上がるだけ盛り上げて先に寝た罰だ』


それだけ言って彼女は背中を向けて、あたしはもう一眠りするとだけ言って寝てしまった。
とりあえず嫌われるどころか、好かれてるって勘違いしても良いかな?






二日酔いの朝


眠ろうとしている彼女の綺麗な背中に口付けを落として、無理矢理起こしたのは言うまでもないよね。




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