『臨也でも傷つくことあるんだね。驚いた』
「いきなり来て、それ酷くない?」
『いや、いきなり来たのはアンタだから』
仕事終わりの彼女はスーツのジャケットをソファーへと脱ぎ捨てながら、キッチンへいってしまった。
スーツがしわくちゃになっても気にしないのか、キッチンからミネラルウォーターを持ってきて、煙草に火をつけた。
「いーじゃん。シズちゃんばっかじゃなくてたまには俺にも優しくしてよ」
『はっ。ありえないわー』
「なんでよ?」
『私があんたに優しくしたら静雄がすね、ちょっとくっつかないでよ』
「愛してる人にこれだけ相手にされないとか、俺かなしいー」
『あんたが愛してるのは人間ぜんぶでしょ』
なんて辛辣な言葉なんだろう。
傷付いてた心は更に抉られる。
「君は特別だよ?」
『あっそ』
「ほんと、殺して俺の手元に置いておきたいくらい愛してるよ」
『あんたに殺されるとかマジ勘弁』
「なにそれ?」
『私が殺されるとしたら、静雄に殺されるところしか想像出来ないし』
「またシズちゃん」
『私が愛してるのはし』
「黙って」
Answer
わかりきった答えを聞きたくなくて
残酷ばかり紡ぐ唇を塞いだ