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□かわいい人
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『関興は猫みたいだねぇー』
成都の一番高い屋根の上で身体を丸めて、わたしの膝に頭を預けて眠る彼に呟く。
柔らかい髪の毛に指を通すだけで、幸せがじわじわと込み上げてくる。
『のどか、だなぁー…』
「ん…」
『あ、起こしちゃった?』
「ごめん、いつの間にか寝てたみたいだね」
『大丈夫だよー。関興の寝顔に癒されたし』
わたしが笑いながら関興の髪の毛に指を通すと、彼は照れたように笑いながら腰に抱きついてきた。
その動作が可愛くてわたしはまた笑ってしまう。
「そんなに笑わないでくれ」
『だって、かわいいんだもん』
くすくすと笑いながら関興を見つめると、腰にまわしていた腕を伸ばしてわたしの頬に触れる。
「君の方がかわいいよ」
『関こ…』
「顔が真っ赤だ」
不意打ちの攻撃に身体中の血液が顔に集中したみたいで、熱い。
心の臓はわたしの全てを突き破って飛び出してしまいそうなくらいに、どくんどくんと脈打ってる。
関興は悪戯が成功した子供の様に無邪気に笑いながらわたしを見上げて、また丸くなってしまった。
『あー…』
このまま平穏で暖かな日々が続けば良いのに。
戦なんてなくなってしまえばいい。
だけど…
『今はこの幸せを噛み締めますか…』
かわいい人
君がいれば明日から続く悲しみも越えられるよ。